「KAT6A(キャットシックスエー)シンドローム」という遺伝子疾患。息子の信治くんにその診断が下りた時、シドニーで2人目だったという非常にまれな疾患です。
シドニーに住むタカデナ涼子さんは、2人の息子の母親です。現在3歳の次男の信治くんは、非常にまれな遺伝子疾患KAT6A(キャットシックスエー)症候群と診断されています。その結果に至るまでには、信治くんのDNAをすべて一つずつ調べるという大掛かりな検査をすることが必要でした。結果が出るまでに1年かかったそうです。
KAT6A症候群は症例が少なく、症状も個人によってばらつきがあります。信治くんの場合は筋肉が弱く、移動や食事、コミュニケーションなどで日々のサポートが必要です。食事はおなかに穴をあけて栄養を取る「胃ろう」で行い、歩くことはまだできません。
オーストラリアの手厚い支援制度や友人家族とのかかわりに、「非常に感謝している」という涼子さん。その一方で、障害を知らないことによって、信治くんとほかの人との間に生じてしまう「壁」をどうにかできたらと思っています。
「信治くんは一見障害が分かりませんが、さすがに3歳の子どもがハイハイしていると『えっ』と見る人もいる。普通の子どもがしない動作をするので、びっくりしてしまうようです」
「自分も小中学生のころ、障害のある人に対して、(彼らが)普通と違うことを怖いと思ってしまっていた。障害について知ってもらえる機会があれば」と涼子さんは語っています。
インタビューでは、この遺伝子疾患についての説明や、診断が下りたときの当時の自分の様子なども聞きました。
インクルーシブ教育
幼稚園が始まったばかりの信治くん。公的支援で幼稚園のスタッフを1人増員し、障害のない子どもたちと一緒のクラスに通っています。
子どもの性格や症状などで、障害のない子どもたちとのインクルーシブ教育が向いているかいないかはさまざまです。
ですが涼子さんによると、信治くんは幼稚園を非常に楽しんでおり、友だちとの交流が機能の発達にも良い影響を与えているといいます。
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