Covid-19パンデミックにより職を失い、政府から支援を受ける資格もない留学生たち。そんな彼らを支える、ボランティア運営団体の手助けにより、立ち退きを求められていた留学生が裁判で勝訴しました。多くのテンポラリービザ保持者を取り巻く問題に、スポットライトを当ててみました。
シングルマザーであるケイリー・グライスさんは、Covid-19によって職をすべて失い、2度も賃貸物件からの立ち退きを求められました。イギリス・リバプール出身のグライスさんはメルボルンで暮らすようになって3年が経ちますが、留学生のため、連邦政府の福祉支援を受けることができません。家賃を支払うことが不可能となったグライスさんは、大家との交渉を試みたものの、話し合いは行き詰まり、ビクトリア州の民事・行政裁判所(VCAT)に問題が提出されました。
ハイライト
- 賃貸住宅組合が家賃の支払いに困る留学生をサポート
- 家賃の減額や、繰り延べ家賃の免除などの交渉に成功
- ビクトリア州では、立ち退き禁止令が2021年3月までに延長
グライスさんのような状況にいる人を支援するため、5月にビクトリア州で結成されたのが賃貸住宅組合、Renters and Housing Union です。この組合の手助けがあって、グライスさんは1万2000ドルの借金が免除され、住宅に残ることができました。
ボランティアによって運営されるこの組合のアイリーン・ツォリディス・ノイスさんは、これまで多くのテナントの減額をサポートしていますが、「(彼らのような留学生たちには)債務を返済することはできず、回収もほぼ不可能」と述べており、大家やエージェントに対しては「彼らには収入がないということ、お金がないということに気づかなければならない」と警告しています。
ノイスさんによると、オーストラリアの賃貸人口の30%のうち、40%の人が収入の半分以上を家賃に支払っている低所得者であると述べています。
ビクトリア州では、立ち退き禁止令が2021年3月までに延長されていますが、大家が不動産を売却する場合や、その家族が引っ越す必要がある場合は、例外となっています。
一方で大家も、テナントに50%以上の家賃の減額を提供した場合、住宅ローンの繰り延べ、家賃や土地税の救済にアクセスすることができます。
イタリア・ローマ出身のマルティーナ・ピトトッティさんとエロス・レポリさんは、大家が住宅の売却を決断したため、借地契約の終了が法廷によって認められてしまいました。しかし、賃貸住宅組合の助けもあり、8000ドルの繰延家賃が免除されることになりました。
ピトトッティさんは、家賃で困っている人は「助けを求めてほしい」と述べています。
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経済的な困難に直面している方は www.moneysmart.gov.au をご覧になるか、National Debt Helpline on 1800 007 007までお問い合わせください。
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