時代の変化や後継者不足などにより、 日本の伝統工芸が衰退の危機にさらされるなか、海外では新たな価値が見いだされ、その人気が高まっています。日本の伝統工芸を海外に発信する架け橋を担う、Simply Native 代表の松元由紀乃さんの夢は「オーストラリアで日本の空間を作る」ことだそうです。
実家が奄美大島の伝統工芸である大島紬を製造していたという松元由紀乃さんは、時代の流れとともに衰退していく地場産業が、自分の身の回りだけでなく、全国規模で起きている課題であることに気づき、海外にその魅了を発信する支援事業、Simply Native を26歳という若さで設立しました。
オーストラリアを選んだのは、かつてワーキングホリデーで訪れた国であったこと、英語圏であるため、他国への事業拡大の可能性を秘めていたこと、そしてなにより、日本との時差がほとんどないため、日本とオーストラリアを繋げ合わせるにはピッタリであったことです。
設立から4年、事業は地元の方の根強いサポートによって、ゆっくりではあるものの、確実にプロジェクトの数や規模が拡大していると語ります。
これまで取り組んできたプロジェクトの中で、もっとも印象深かったのは、NSW州中部のカウラ市にある、カウラ日本庭園で行われた、本館屋根瓦の葺き替え工事。
もともとはオーストラリア産のコッパータイル(銅板タイル)でほぼ決定していたそうですが、「せっかくの日本庭園、小さな可能性にかけて日本瓦を提案した」と言います。そして採用されたのが、世界最強と謳われる、島根県の石州瓦です。100年をゆうに超えるという優れた耐久性はもちろんのこと、その耐水性、さらには当初コッパ―タイルに予定されていた費用の約3分の2に収まったため、採択されました。
日豪友好のシンボルでもあるカウラ庭園で、しっかりと架け橋の役を担った松元さん。国も時代も違うなかで、とくに気をつけているのは、「グローバルな環境でも馴染む洗練された日本の商材を選定し、クライアントに提案すること」だそうです。
また活動を通して、モノ作りを次の世代に繋げるため、現在の担い手を応援したという松元さんは、クライアントとの対話を大切にしています。作り手の背景や歴史、いわゆるそのモノひとつのストーリーを伝えることで、理解を深めてもらうおうと心がけています。
詳しくはポットキャストをお聴きください。
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