オーストラリア政府、アボリジニ旗を一般に解放

ルリチャ族のアーティスト、ハロルド・トーマス氏との交渉により、アボリジニ旗の複製が無償で可能になりました。

Children hold the Aboriginal Flag at a Black Deaths in Custody Rally at Town Hall in Sydney on 10 April 2021.

Children hold the Aboriginal Flag at a Black Deaths in Custody Rally at Town Hall in Sydney on 10 April 2021. Source: AAP Image/Mick Tsika

オーストラリア政府は、ルリチャ族のアーティストで、土地権利活動家でもあるハロルド・トーマス氏との交渉の結果、2,005万ドルでアボリジニ旗の著作権譲渡を確保しました。

1971年にトーマス氏によってデザインされたアボリジニの旗は、その年のナショナル・アボリジニー・デーに、アデレードで初めて掲揚されました。

今後は、オーストラリア国旗と同様に、使用は自由となりますが、「敬意と尊厳を持って扱う」という規約が適用されます。

「今回の取り決めが、すべてのアボリジニの人々やオーストラリア国民にとって、国旗を変更することなく、誇りを持って、制限なく使用するための安心材料となることを願っています」と、トーマス氏は述べています。

 「この国旗は、我々の土地とそこに住む人々の時代を超えた歴史を象徴しています。それは、私たちが何者であるかという内省であり、評価でもあります」

「それは、我々の祖先、土地、そして我々のアイデンティティの歴史から導き出されたものであり、将来にわたってこれらを称えていくものです」
The On Country program will see Indigenous Elders and Traditional owners combat reoffending and crime with culture.
The On Country program will see Indigenous Elders and Traditional owners combat reoffending and crime with culture. Source: Getty Images
アボリジニ旗の「赤」は地球を、「黄」は太陽、そして「黒」はアボリジニを意味しています。

これまで、非アボリジニが経営する3つの企業のみが、トーマス氏とライセンス契約を結んでおり、国旗や記念品、衣料品に彼のデザインを使用することが許可されていました。

グンジュマラ族の女性で、『クロージング・ザ・ギャップ』のCEOであるローラ・トムソン氏は、『WAMクロージング』社がアボリジニの旗のついた衣類を販売する国際独占権を持っていることを知り、2020年に「旗の自由」を訴えるキャンペーンを開始しました。

彼女のキャンペーンはAFLやオリンピック選手のノバ・ペリス、労働党上院議員のマラルディリ・マッカーシーなどからも支援を受け、オンラインで16万5千人以上の署名を集めました。
Harold Thomas
Harold Thomas with the Aboriginal flag he designed in 1971. Source: News
オーストラリア先住民担当相のケン・ワイアット氏は、アボリジニ旗の公的使用を確保することは、すべてのオーストラリア国民にとって重要であると述べています。

「過去50年間、我々はハロルド・トーマスの芸術作品を自分たちのものにし、アボリジニの旗の下で行進し、支持し、そして誇りをもって高く掲げてきました」

 「著作権問題を解決するためのこの合意により、全てのオーストラリア人は、先住民文化を祝うために、この旗を自由に掲げ、使用することができます」

「連邦が著作権を持つ今、それは皆のものであり、誰もそれを取り上げることはできません」

アボリジナニの旗は今後、スポーツ・ジャージやシャツなどの衣料品につけることができるようになり、またスポーツ・グラウンドに描いたり、ウェブサイトやアート作品に取り入れたりすることも、許可や使用料を払うことなくできるようになります。

「感謝」ハロルド・トーマス氏

モリソン政府は、『キャロル&リチャードソン・フラッグワールド』が今後もアボリジニ旗の独占ライセンス製造・提供会社であり続けることを確認し、またフラッグワールドの販売による利益は、政府がNAIDOCウィークのための専用ファンドに投資され、トーマス氏は旗の著作権を保持することになると述べています。

NAIDOC委員会はNITVの取材に対し、交渉成功の発表を歓迎する声明を発表しました。

「私たちは、この交渉がセンシティブなものであったことを認識しています。ワイアット相が交渉に成功したことに祝意を表します」

「フラッグワールドが国旗を販売することで連邦政府が受け取るロイヤルティが、NAIDOCの継続的な活動に向けられるということも温かく歓迎し、それによりNAIDOC活動がより大きな広がりを見せることを望んでいます」

「また、この旗の著作権が最終的に先住民の団体に投資されることも期待しています」

2,005万ドルの契約詳細は「極秘」とされていますが、トーマス氏は、その利益のうち200万ドルを、オーストラリア先住民の旗と先住民の利益に沿った定期的な支出を行うための非営利団体「オーストラリアン・アボリジニ・フラッグ・レガシー」の設立に使うつもりであると明かしました。

トーマス氏は、自分の芸術が多くの人に評価され、「とても力強いものを象徴するようになった」ことに「感謝している」と述べています。

スコット・モリソン首相は、交渉に携わった全ての人々に感謝し、「我々は、オーストラリア人のためにアボリジニの旗を解放した」と述べました。

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Published

By Nadine Silva
Presented by Yumi Oba
Source: NITV News

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