2022-23年度のオーストラリアビザの変更とは?

新たな会計年度の開始は、オーストラリアの移民プログラムのスポットがリセットされ、海外の人々にとって新しい機会が開かれることを意味します。しかし、今年はCOVID-19のパンデミックにより、特定のビザ保持者には重要な変更点がいくつかあります。

Australia visa changes 2022-23 -SBS News

Australia visa changes 2022-23 Source: SBS News

7月1日から実施されるビザの変更により、熟練労働者には永住権への新しい道が開かれるほか、ワーキングホリデー・メーカーの受け入れ人数は増加、そしてCOVID-19による国境閉鎖の影響を受けた卒業生には、オーストラリアから締め出された時間を取り戻すチャンスが提供される予定です。

移住エージェントVisaEnvoyの弁護士であるベン・ワット氏によると、今回の変更は、COVID-19からの経済回復を支援することに重点を置いたもので、一部の人々にとっては「エキサイティング」な展望をもたらすと述べました。

「多くの人々や産業にとって、特に特定の分野における人員不足を埋めることは非常に困難なことです」
今回のビザの変更は「できるだけ多くの人をシステムに送り込むこと」であるとワット氏は説明します。

また、7月1日からの変更は、パンデミック時にオーストラリアに留まり、耐え忍んだ特定のビザ保持者への「報奨」として受け止められると付け加えました。

以下はビザの主な変更点です。

就労ビザ(サブクラス482)

就労ビザ(Temporary skill shortage ・TSS・サブクラス482)保持者は、永住権の申請がより簡単になります。

オーストラリアでは、今年3月の時点で、5万2440人がサブクラス482、もしくは2018年3月に廃止されたサブクラス457のビザで滞在しており、7月1日以降、それらのビザ保有者は、Temporary Residence Transition(TRT)ビザを申請することができます。TRTは雇用主から指名された熟練労働者が、オーストラリアに永住して働けるようにするものです。
Skilled Visa
Source: Getty Images/FatCamera
しかし、新しいパスウェイはこの日から2年間しかアクセスすることができません。

対象となるのは、2020年2月1日から2021年12月14日の間に1年以上オーストラリアに滞在した者です。

この変更は、短期熟練職業リスト(STSOL)に掲載されている職業を持つサブクラス457ビザ保持者にも適用される予定です。

年齢制限の撤廃

もう一つの変更点は、457ビザ保持者がTRTストリームを通じて永住権を申請する際に、年齢による制限を受けないということです。

Work Visa Lawyersの弁護士、ルーク・エドワード氏によると、45歳以上のビザ保持者は、これまで永住権を取得するための道が限られていた、もしくはなかったと言います。

「雇用主がスポンサーとなり、オーストラリアで長い間働いてきた人たちがいます。若いうちに永住権を取得することができず、今では(年齢により)この制度から外れてしまっていた人たちにとっては長らく願っていたことです」

しかしこの新たな変更も、7月1日から2年間までに限られるようです。

また年齢免除の変更を受けるには、457ビザ保持者は2017年4月18日以降にビザを取得たほか、2020年2月1日から2021年12月14日の間にオーストラリアに1年以上滞在していた必要があります。

卒業ビザ

また7月1日から、COVID-19の渡航制限により時間を失った現在および過去の卒業ビザ(Temporary Graduate Visa・サブクラス485)保持者は、代替ビザを申請することができます。

申請資格は、有効な卒業ビザを保持していること、あるいは2020年2月1日以降に期限切れとなった卒業ビザを過去に保持していたことです。また、2020年2月1日から2021年12月15日の間にオーストラリア国外に滞在していたことが条件となります。
Graduate Visa
Source: Getty Images/Barry Austin Photography
この措置により、現在または過去に卒業ビザを保有していた約3万人に恩恵をもたらすことが見込まれています。

これらの卒業生には教育経験があり、労働現場での即戦力になることが期待されているとワット氏は説明します。

ワーキングホリデーメーカービザ

COVID-19の国境閉鎖により、新たなワーキングホリデーメーカーが入国できず、彼らの貢献に頼っていた産業にも大きな負担がかかりました。

しかし7月1日からは、ワーク・アンド・ホリデービザ(サブクラス462)*の取り決めの一環として上限が設定されている複数の国からのワーキングホリデーメーカーの定員数が、2022-23年に限り30%増加する予定です。

新年度からは、モンゴルとブラジルもオーストラリアのワーキング・ホリデー・メーカー・ビザ・プログラムにアクセスできるようになり、一部の国では年齢制限と上限の変更も行われる予定です。

イタリアとデンマークの年齢制限は、30歳から35歳へと5歳引き上げられる予定です。

また、ハンガリー、オーストリア、スロバキア共和国のワーホリビザは、合計1,400人分の上限が引き上げられる予定です。

エドワーズ氏は、労働力不足に対処するために、ワーキングホリデー・メーカーの貢献を「切実に必要としている」分野もあると述べています。

 「特にオーストラリアの地方都市や農家では、ワーホリビザが提供するような、より多くの労働者や季節労働者を求める声が大きいです」

*ワーキングホリデープログラムには2種のビザがあり、日本のパスポートを保持している場合は、ワーキングホリデービザ(サブクラス417)となります。
Working Holiday Maker
Source: Getty Images/Kelvin Murray
新政権のアプローチとは?

7月1日は、移民プログラムもリセットされ、移民に新たな機会が訪れることを意味します。

熟練労働者がオーストラリアに入国するための様々な経路は、3万人以上の定員増になろうとしています。

また労働党は、一時的な移民の増加による不安と戦うために、永住権取得への道に再び焦点を当てることを推し進める意向を示しました。

しかし、5月に交代した新政権は、依然としてパンデミックの影響と闘っている移民プログラムを継承し、ビザの滞留に対処することが優先事項であると述べています。

ビザの枠組みに関して前政権が下した決定は今後も継続され、中には大きな影響を受ける人もいるとしています。

ワット氏は、政権が変わったからといって、すぐにビザ制度に「大きな変化」を期待してはいけないとし、「大きな方向転換や変化を見るには、少なくとも12ヵ月は必要である」と述べています。

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Published

By Tom Stayner
Presented by Yumi Oba

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