ジョブシーカー増額も受給者は依然とレンタルストレスに

新たな報告書によると、パンデミック中に失職したオーストラリア人の中には収入の70%近くを家賃に割り当てている人もいるようです。

Kingsley Wallman

Kingsley Wallman Source: Sarah Maunder/SBS News

12ヵ月前にホバートからメルボルンに移り住んだシニア弁護士であるキングスレイ・ウォールマンさん(56)は、新型コロナウイルスパンデミックにより引っ越し直後、失職。ホバートに戻ることを余儀なくされました。

「メルボルンの家賃は、ジョブシーカーの支払いを上回る額で、支払いは不可能でした」とウォールマンさんはSBSニュースに語りました。

ウォールマンさんは友人と暮らすことで生活費を抑えていますが、仕事を見つけることはできていません。
Kingsley Wallman
Kingsley Wallman Source: Sarah Maunder/SBS News
「ホバートに戻ってから積極的に仕事を探してきました。こことメルボルンで数十件の仕事に応募してきましたが、面接はまだ一度も受けていません」

ウォールマンさんのような状況下にいる人は多く、収入に対する家賃の割合を指す、今年のレンタル・アフォーダビリティ 指数を見ても、失業中の借家人にとっては厳しい状況であることがわかります。

最新の指数は6月四半期まで支払われたCovid-19の福祉支援の影響を調査したものですが、これによると増額されたジョブシーカーの支払いにより、全国で影響を受けた受給者のレンタル・アフォーダビリティ 指数は改善したものの、受給者は現在でも中程度から極度の家賃に関するストレス、いわゆるレンタルストレスに直面していることが示されています。

ジョブシーカーの増額は、既に支払いを受けていた受給者をはじめ、パンデミックにより失職した約75万5000人の新規受給者を支援するものでしたが、オーストラリアすべての都市部において収入の42~69%が家賃に割当てられているという、極度のプレッシャーに直面していたことが明らかになりました。

エコノミニストのエレン・ウィット氏によると、仕事を見つけることがでない人々は家賃が安い地方へと移動する一方で、このような地域では仕事もサービズも少なく、貧困のサイクルに陥っていると言います。
SGS Economics and Planning partner Ellen Wiite
SGS Economics and Planning partner Ellen Wiite Source: Sarah Maunder/SBS News
ウィット氏によると、ジョブシーカーの受給者は、これまで収入の30%から35%を家賃に割当て、やりくりしてきましたが、「今では収入や家賃の60%以上を支払っているかもしれません」と述べています。

「これでは家賃を支払うことはできないので、引っ越さなければなりません」

指数では、住宅ストレスの定義を、低所得世帯の総所得の30%超えと設定しています。

ホバート 3年連続で最も家賃が高い州都

指数によると、オーストラリアで家賃が最も高い州都は3年連続でホバート、次いでアデレードであることがわかりました。

他州ではコロナウイルスによる影響で家賃が下げられたため、それほど大きな打撃はなかったようです。

家賃に当てられる収入の割合は、全国的に見て20%である一方で、ホバートでは収入の平均31%が家賃に費やされていました。

ウィット氏によると、「購買力のある人々がオーストラリア本土からタスマニアに新たにやってきて、住居を購入したことにより、価格が押し上げられた」と述べています。
For the third year in a row, the index found Hobart to be the country's least affordable city.
For the third year in a row, the index found Hobart to be the country's least affordable city. Source: Sarah Maunder/SBS News
ウィット氏は、オーストラリア全土の政府に対し、公営住宅への投資を促しており、ビクトリア州政府が先ごろ発表した、53億を投じて州内に1万2000戸の公営住宅を新設するという公約を称賛しました。

「これは多くの雇用を創出するものでもあり、現在のような景気後退の時期には非常に重要なことです」

「このような発表が今後全国レベルで増えることを期待しています」

またオーストラリアを貧困から自由にさせることを目的としたNPO団体、ブラザーフッド・オブ・セントローレンスも、公営住宅により多くの投資がされることを望んでいます。

「我々は公営住宅と、手軽な価格の住宅への投資を呼びかけています。今がそうされるべきタイミングです」と、研究・政策ディレクターのシェリー・マレットさんは語ります。

「失業率が高いいま、建設業界や他の関連産業への投資が必要なのです」
連邦政府は1月1日から、ジョーブシーカーの受給額を、現在の隔週815ドルから隔週715ドルに引き下げます。

ブラザーフッド・オブ・セントローレンスは、180万人が年末までに支払いを受けることになると予測しています。

「我々が懸念しているのは、より多くの人がジョブシーカーを受給するという、重大な危機に陥るということです」とマレットさんは言います。

自分の将来がどうなるかわからないと語るウォールマンさんは、「これは今後、過去のように雇用があることを計画したり、期待したりすることはできない、というメッセージではないでしょうか」と述べています。

With AAP.

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Published

Updated

By Evan Young, Sarah Maunder
Presented by Yumi Oba

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