2021年度の予算案はどうあなたに影響するのでしょうか? 勝ち組? 負け組?

パンデミックによる不況から回復を図る、オーストラリアの新年度の予算案が連合により発表されました。あなたの家計への影響は?

These are the winners and losers from the 2021 federal budget.

These are the winners and losers from the 2021 federal budget. Source: SBS News

新型コロナウイルスパンデミックの開始から、2度目となる連邦予算案が、連合により11日夜発表されました。

ジョッシュ・フライデンバーグ蔵相が発表した新年度予算案では、財政赤字が1610億ドルに達することが明らかになりましたが、これは半年ほど前に予想されていた額よりも527億ドル少ないものです。

火曜日に発表された多くの新政策は、誰をベネフィットするのか、簡単に見てみましょう。

予算は誰を優先するのか?

メンタルヘルスのサポートを必要とする人

政府は、オーストラリア国民のメンタルヘルス向上のために、今後4年間で23億ドルを投じることを約束しました。その内訳は、メンタルヘルス治療に14億ドル、自殺防止対策(自殺防止対策オフィスの新設を含む)に2億9810万ドル、早期介入戦略に2億4860万ドルとなっています。

家庭内暴力・性暴力の被害者

政府は、家庭内暴力や性的暴力を受けている女性や子どもを対象とした対策に、4年間で10億ドル近くを拠出することを約束しました。この中には、暴力的な関係から逃れた女性に最大5,000ドルを提供する2年間の試験プログラムも含まれています。

また、難民・移民の被害者には、3年間で約3,000万ドル、先住民族の女性や子どもの被害者には、4年間で約2,600万ドルの予算が計上されています。

エイジドセクター

ロイヤルコミッションの報告書で厳しく批判された、エイジドセクターには、3月に発表された4億5,200万ドルに続き、新たに177億ドルが投じられます。この資金は、8万件の新しい在宅ケアパッケージをはじめ、入居者がフロントラインのケアスタッフと接する時間を増加させること、さらには3万3000人のパーソナルケアラーのトレーニングなどに使われます。

低・中所得者

今年の予算には、低・中所得者向けの新たな減税策が盛り込まれています。政府の発表によると、来年度は個人で1,080ドル、夫婦で2,160ドルの節税になるようです。

また、すでに発表されている17億ドルの育児支援策も、主に低・中所得者層を対象としています。政府によると、この施策により、約25万世帯の保育料の負担が軽減されると言います。

一部のセクターにおけるジョブシーカー

5億ドルを投じたジョブトレーナープログラムの延長により、高齢者介護やITなどを含む、スキルが必要とされる分野で、約20万人に安価または無料のトレーニングが提供される予定です。また従来、女性が就かなった職業への女性の雇用を増やすため、賃金補助制度に15億ドルを新たに投入することがわかりました。

また、学校卒業後の就職を支援する、先住民の女子学生を対象としたアカデミーに、さらに2700名を追加するため、4年間で6300万ドルが投じられます。

負け組は?

生活保護受給者

新年度の予算案には、新たに大きな福祉施策は盛り込まれていません。政府は、3月末にジョブシーカー支給額を1日3.57ドル引き上げましたが、これは擁護団体が求めていた1日25ドルの引き上げを大幅に下回っています。またジョブキーパーも3月末で終了し、何千ものオーストラリアの企業や労働者が不安を感じています。

アートセクター

同様に、コロナウイルスの影響を最も大きく受けているオーストラリアの芸術・エンターテイメントセクターでも、大きな発表はほとんどありませんでした。

今年3月には1億3,500万ドル、昨年6月には2億5,000万ドルの予算が提示されましたが、この分野ではジョブキーパーに登録している人が多いこともあり、予算の増額を期待する声もありました。

国際教育

今回の予算では、教育セクター全体に対して数十億ドルの支援が行われている一方で、国際教育機関に対しては、わずか5,360万ドルの計上に留まりました。これは独立系の英語教育機関や大学以外の高等教育機関を対象としたもので、国境閉鎖により留学生の受け入れが激減し、大学や高等教育機関の収益に深刻な影響を与えたことを受けてのものです。

海外からの移住希望者

今年の予算では、一時的および永続的な移住は、少なくとも2022年の半ばまで再開されないと想定されています。

一部の留学生は、2021年末に向けて徐々にオーストラリアに戻ることができるようになるかもしれませんが、これは各州やテリトリーが定めた受け入れ人数の上限に沿うことが求められます。

国境再開後、オーストラリアに移住できる年間の人数も増加せず、2021-22年には16万人の上限が設定されています。

一方で、オーストラリアにすでに滞在している移民の場合、ビザが承認される可能性が少し高くなります。政府はオーストラリア国内の申請者を優先して、パートナービザ申請の滞りを解消する予定です。 

環境

環境対策に投じられる予算は、環境活動家が望んだものとは程遠いものになりそうです。

10年間で12億ドルを投じて、地域の水素ハブや炭素回収・貯留技術への投資を促進することが約束されているほか、海洋生物保護のために1億ドルが計上されています。また、約6,000万ドルが政府のガス火力発電による経済回復に投入されています。

先週発表されたオーストラリアン・クライメート・サービスへの4年間で2億1000万ドルの投資は、オーストラリアが受ける「自然災害や気候の変化による影響をより良く予測、管理、適応する」ことを支援することを目的としています。

Additional reporting by Karishma Luthria and Maani Truu. 
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Published

Updated

By Evan Young
Presented by Yumi Oba

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