スコット・モリソン首相は、23日にキャンベラで行われた連邦議事堂での女性の扱いに関する記者会見で、メディア企業が社内でハラスメントの苦情に対処しているとする「無神経な」主張をしたことを謝罪しました。
モリソン首相は、一連の性的問題に対する質問への回答を深く反省していると述べました。
首相は、昨日全国に放送された記者会見で、ニューズ・コープ社が、女性が女子トイレでハラスメントを受けたという苦情を処理していると主張。
しかしニューズ・コープ社は、そのような苦情は存在しないと反論しました。
ニューズ・コープ社のマイケル・ミラー会長は、モリソン首相が2人の従業員の間で交わされた言葉のやりとりについての報告と、女性に対するハラスメントについてのより広範な国民的議論とを混同していると指摘しました。
ミラー会長は、この発言は、人々が安全かつ信頼できる形で問題を提起することができなければならないという原則を損なうものだと述べました。
首相は24日火曜日の夜遅くに、自身の発言について遺憾の意を表明。
「本日の記者会見において、ニューズ・リミテッドの記者からの質問に対し、事実ではない事件について言及するという無神経な対応をしたことを深く反省しています」と述べました。
「私は彼らの説明を受け入れます。この問題を提起したのは間違いで、感情的になってしまったことは言い訳になりません」
「特に、事件の中心となった人物と、直接影響を受けた人々に謝罪したいと思います。私にはこの問題を提起する権利はなく、また、彼らの許可なしにするべきではありませんでした」と述べています。
緑の党のアダム・バンド党首は、「首相は、この嘘がどのようにして生まれたのか、なぜ国民に真実ではないことを話したのか、今日、議会で説明しなければならない」、「もし首相がこのような単なる作り話のようなことを言う覚悟があるのなら、他に国民に真実ではないことを話したことがあるだろうか?」と、謝罪は十分ではないと批判しました。
労働党は、首相が作りあげられたハラスメントの主張を武器にしていると非難。
野党は、自分の主張が全国ネットで放映されるかもしれないと知った女性が、今後どうやって悩みを打ち明けられるのか、と疑問を呈しています。
一方、連邦議事堂内の職場文化の改革を担当する人物は、今後政治的な役割を担っていない人も含め、幅広い層の人々が名乗り出ることを期待しています。
性差別撤廃委員会のケイト・ジェンキンス氏は、調査は今後連邦議事堂に留まらず、幅広く行われるとしています。
「投票所にいるかもしれないし、社交場にいるかもしれない」と上院委員会で述べました。
ジェンキンス委員長は、自由党の元職員であるブリタニー・ヒギンズ氏が先月、2019年に連邦議事堂内で同僚に性的暴行を受けたと名乗り出たことをきっかけに、この問題の調査を始めています。
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