富裕層であろうとなかろうと、誰もが遺言書を持つべき理由とは?

オーストラリア人の多くは、自分には遺言書が必要なほどの資産はなく、そういう年齢でもないと考え、遺言書を作成することの重要性を軽視しています。しかし、専門家によると、遺言書を持つのに若すぎるということはないそうです。

couple signing documents

Source: Getty Images/skynesher

オーストラリアでは、高齢者、および多額の資産を持つ人だけが最も一般的に遺言を作成していることが調査で分かりました。2017年に行われた大規模な調査では、調査対象者の約半数が遺言書を作成していないことがわかりました。


キーポイント

Advertisement
  • 調査によると、オーストラリア人の2人に1人が遺言書を作成していない
  • 専門家によると、遺言書を避ける背景には、文化的な理由や誤解、さらには迷信などがあるという
  • 遺言書がない状態で死亡した場合、資産は既定の州法に基づいて分配される

研究を率いたディーキン大学のアダム・スティーン教授によると、遺言書を作成しない理由には、誤解や迷信も含まれると言います。

「遺言書が必要ないと思っている人は非常に多く、また遺言書を作成すると自分が死んでしまうと思っている人もかなりの割合で存在します。中には『お金がないから』とか『年寄りではないから』と考える人もいます」と教授はSBSラジオ語に語りました。



遺言書のない人が死亡した場合、それは「 intestacy(無遺言死亡)」と呼ばれ、州や地域の法律に従って資産の分配が行われます。弁護士のディーン・カリムニオス氏は、遺言書を作成しておけば、家族がこのような事態に陥らずに済むと言います。

model house
The will can ensure your assets are distributed as per your wishes in the eventuality of death. Source: Getty Images/seksan Mongkhonkhamsao


「遺言 というと、人生の終わりに近い人がするものだと思われがちです。縁起が悪いことを言うつもりではありませんが、実際には、それがいつになるかはわかりません。ですから、事前に計画を立てておくのが良いのです」と彼は言います。

また、遺贈規則による資産の分配は、故人が家族に遺贈する際の優先順位をどのように考えていたかを反映していない可能性があると言います。

「孫に家宝や二人で共有したもの、その他の重要なものなど、どうしても遺したいものがあるのであれば、それには遺言が一番の方法です」

デジタル時代の今、デジタル資産についても考えることが重要です。かつては写真アルバムがありましたが、今ではデジタル化されているほか、電子メールのリストやソーシャルメディアの情報などもあります。また、人々はビットコインなどを大量に購入しています。
   -ディーキン大学のアダム・スティーン教授

大切な人のため、計画は財産だけでとどまらない

カリムニオス氏は、遺言書が無効になるような間違いを避けるため、遺言書を作成する際には法的なアドバイスを受けることを勧めています。

woman filling out document with older woman next to her
Source: Getty Images/GCShutter


遺言書の作成は、弁護士または各テリトリーで運営されている政府機関であるパブリック・トラスティーに依頼することができます。



ビクトリア州・パブリック・トラスティ・サービス部門のエグゼクティブ・ゼネラル・マネージャー、マイケル・スピーゲル氏によると、遺言書がないまま死亡した場合、未成年の子供の後見人は法律で決められるため、遺言書を持つことは特に親にとって重要であると指摘しています。

適切な親族がいない場合、子どもは里親に送られる可能性があります。オーストラリアに面倒を見てくれる家族のネットワークがない移民の子供は、海外の親戚に送られる可能性もあります。

Child on shoulders
Source: Getty Images/Paul Bradbury


曖昧を防ぐ

遺言書は不確実性や文化的な誤解を解消するのに役立つと、ディーン・カリムニオス氏は、言います。

一般的には、故人が何を望んでいたのかを知ることができ、作業がより楽で明確になります
「移民のコミュニティの中には、財産に対する考え方がアングロ・ケルト系の考え方とは異なるところがあります。家族の財産は、みんなで共有するものだと考えられている一方で、オーストラリアの法律的な観点から見ると、明らかに財産の考え方が進化しており、それは自分のものであり、自分の意志でどうするかの権利があるのです」とカリムニオス氏は言います。

有効的な遺言書を作成するには、それが弁護士によるものでも、遺言書キットを利用するにしても、いくつかの点に留意することが重要です。

たとえ疎遠になっていたとしても、子供たちを除外することはできませんし、家族が2つある場合も同様です。そこには理由があり、何を与えなければならないか、何を与えるべきかというレベルがあり、裁判所がそれを判断することもあるからです
   -ビクトリア州・パブリック・トラスティ・エグゼクティブ・ゼネラル・マネージャー、マイケル・スピーゲル氏

couple discussing will
Couple discussing will Source: Getty Images/skynesher


マイケル・スピーゲル氏は、遺言書のない人が亡くなると、家族間の争いがよく起こると、自身の経験から語ります。

「自分の希望を大切な人に確実に伝える」よう、彼はアドバイスします。

「自分が望んでいるものがすべて揃っているかどうかを確認してください。最善の方法は、遺言書を用意するだけでなく、家族が事情をしっており、驚かないよう会話をしておくことです」

私たちは自分の死について話したくありません。しかし、人生で確実に言えることは、私たちは皆、死ぬということです。そして、そのことの意味と、愛する人たちに与える影響について考えれば考えるほど、より良い人生を送ることができます
   -ビクトリア州・パブリック・トラスティ・エグゼクティブ・ゼネラル・マネージャー、マイケル・スピーゲル氏

オンライン遺言書キットを使用した場合でも、弁護士やパブリック・トラスティーのチェックを受けることができます。お住まいのテリトリーのパブリック・トラスティのウェブサイトをご覧ください。

木土の夜10時はおやすみ前にSBSの日本語ラジオ!

から過去のストーリーを聴くこともできます。

SBS 日本語放送のもお忘れなく。


Share
Published 27 May 2021 at 12:31pm
By Zoe Thomaidou
Presented by Yumi Oba