オーストラリア人の大半は、自分たちが暮らしている土地が「伝統的な国」であること、またそこには何千年も前から伝えられてきた文化の物語があることを知りません。
このキャンペーンは、アボリジニのクリエイティブ・コンサルタント会社であるキャンプファイヤー・エックス社とフェイスブック社が共同で制作したもので、アボリジニとトレス海峡諸島民の文化と功績を称えるNAIDOCウィークに合わせて始まりました。
今年のNAIDOCのテーマは 「ヒール・カントリー!」。土地や水、アボリジニの聖地や文化遺産の保護強化を訴えており、オーストラリアの非先住民族に向けた「コネクト・トゥ・カントリー」キャンペーンと連動しています。
キャンペーンのフェイスブックページに今週投稿されたビデオは、「どこから来ましたか?」、「あなたが今、どこに住んでいようと、その土地は『伝統的な国』です。しかし大半の人々はその土地を正確にスペルすることすらできません。おかしいと思いませんか?」と問いています。
「あなたが知っていると思っていたその土地について改めて考え、新たな視点から観察し、学んでみませんか?」
オーストラリア人は、どのように「国」を認知するべきか、また地元のコミュニティや言語グループとどう繋がるべきかを学ぶことが奨励されています。
ガミラロイ族の女性で、ナインネットワークの司会者であるブルック・ボニー氏は、「適切な行動や発言を心がける」といったシンプルな計らいで、「国を認知できる」と述べています。
「国の伝統的な所有者に敬意を払い、名前を正確に言うこと。過去と現在の長老に敬意を払うこと。これが重要なポイントで、あとはあなた次第です」
その他のアドバイスとしては、伝統的所有者のイベントに参加することや、先住民の組織をフォローすること、企業を支援することなどが挙げられます。
ビディガル族の男性で、クリエイティブ・コンサルタント会社、キャンプファイヤー・エックスの共同設立者、ブラッド・クックさんは、「コネクト・トゥ・カントリー」はひとつのムーブメントの始まりだと述べています。
「アボリジニーの人々やコミュニティに関わったことのない多く人々のフェイスブックページには、アボリジニの友人がほとんどいないこともあります」とクックさんはAAPに語っています。
「(このキャンペーンは)他では見ることができないことを、見せることができるのです」
「非先住民の人々は、先住民やそのコミュニティと関わりを持ちたいと、純粋に思っているものの、それを正しくできないのではないか、と恐れているようです。私たちは、その恐れを取り除きたいと思っています」
このキャンペーンでは、フェイスブックの位置情報技術を利用して、その地域の先住民コミュニティに関連したストーリーを、ターゲットとなる地域に配信します。
キャンペーンの第1弾として、ニューサウスウェールズ州のブレワリナ、ダボ、ポートスティーブンス、ラペルーズの4つの地域の住民は、ソーシャルメディアのフィード上で地元の物語を提供され、地元の先住民族コミュニティについてもっと知ることを促されます。
今後、他の地域でも、より地理的にターゲットを絞った先住民族のストーリーテリングが制作される予定です。
「アボリジニやトレス海峡諸島の人々は、一人の人間でも、一つの人種でもありません」とクック氏は述べています。
「ひとつの物語が国全体を反映しているわけではありません。このウェブサイトとこの活動は、それを示しているのです」
NAIDOC ウィーク(7月4日〜11日)は、アボリジニとトレス海峡諸島民の歴史、文化、功績を讃えるイベントです。今年のテーマは、「ヒール・カントリー! 」。すべての人が、土地、水、聖地、文化遺産を搾取、冒涜、破壊から守るための保護を引き続き求めることを呼びかけています。
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