2020年は、「iso(アイソ)」(Isolation、隔離)などの新しい言葉が生まれたり、在宅勤務中のテレビプレゼンターがズボンを履くのを忘れたり、不条理な陰謀論が主流となったり、あらゆる出来事が続いた1年でした。誰もが終わりを楽しみにしているであろう2020年の1年を振り返ってみましょう。
ハワイでのバカンス
2020年は、オーストラリア史上最悪のブッシュファイヤーとともにスタートを切りました。約1,860万ヘクタールが焼失し、5,900棟の建物が破壊され、そして34人が亡くなったブッシュファイヤーのピーク時、オーストラリアのスコット・モリソン首相はハワイで休暇を取っていたことが判明しました。首相に「見捨てられた」と、怒りを感じた者もいれば、「首相だって他のオーストラリア人同様に休暇を取るべき」など、国民を分裂させました。

モリソン首相はその後、ブッシュファイヤーが燃え続けるなか、旅行をしたことで「オーストラリアに大きな不安を与えた」と認めています。
一方で、モリソン首相のバカンスをあざ笑う壁画がシドニーに登場し、同様のデザインのTシャツやハワイアンシャツなどにより、消防士のために5万ドルが集められました。このパロディTシャツはオーストラリア国立図書館のアーカイブに追加されています。
トイレットペーパー騒動

大規模なトレイレットペーパー不足は、2020年で最も印象深い出来事だったのではないでしょうか。
「パニックバイ」によって、スーパーマーケットからは、トイレットペーパーのみならず、パスタ、ハンドサニタイザー、石鹸など、多くの商品が消えていきました。
スーパーマーケットで2人の女性がトイレットペーパーをめぐって取っ組み合いになる様子をとらえた映像は、世界中で衝撃を呼びました。
オーストラリア・ファイナンシャル・レビューによると、3月中旬のパニックバイにより、ウールワースは1週間に3970万本のトイレットペーパーロールを販売したそうで、5月のある1週間に売れた900~950万ロールと比べても、人々の爆買いぶりがうかがえます。
「カレン」
2020年には「バニングスのカレン」が誕生した年でもありました。これは、マスク着用を呼び掛ける従業員を非難し、「公衆衛生上の措置が自分たちの人権を侵害した」と騒ぎ立て、マスクの着用を拒否するなどと言った行動をする一連の女性を指す名称となり、マッコーリー辞典は「Karen」を2020年度の「ピープルズ・チョイス・ワード・オブ・ザ・イヤー」に選出しました。

キリオスはCovidでスポーツ界のキングに
何かとお騒がせの豪テニス選手、ニック・キリオス。度重なる暴言や非伝統的なスタイルにより、2019年は、6ヶ月間の執行猶予と11万3,000ドルの記録的な罰金を科されていましたが、2020年は彼の贖罪の年となりました。
1月に行われた全豪オープンでは、ブッシュファイヤーの救援募金活動を組織する上で重要な役割を果たし、また新型コロナウイルスが世界で拡大するなか、予防措置の重要性について、発言を続けました。また8月に開催された全米オープンも、Covid-19 への懸念により欠場しています。

ポーリン・ハンソン氏、番組出演打ち切りに

7月、ビクトリア州政府がノースメルボルンとフレミントンにある公営住宅タワーをロックダウンした際、チャンネルナインの「トゥデイ・ショー」でコメンテーターとして出演していた政治家のポーリン・ハンソン氏は、タワーの住人を「麻薬中毒者」や「英語が話せないアルコール中毒者」と罵倒。番組への批判が殺到し、同番組は今後ハンソン氏の出演は「お断り」と発表しました。
ピート・エヴァンス契約解除
「マイ・キッチン・ルールズ」の元ホスト、ピート・エヴァンス氏は、自身のソーシャルメディアで、ネオナチのシンボルを取り入れたような漫画をシェアしたことから、KマートやビッグW、デビッド・ジョーンズ、出版社のパン・マクミランなど、多くのブランドから契約解除されました。

エヴァンス氏は「ネオナチ」が何かわからず、グーグル検索したとし、「主流メディアは私に人種差別主義者とネオナチのレッテルを貼っている」と主張。
しかしながら、根拠のない反ワクチンや反フッ化物の主張をソーシャルメディアで繰り広げ、注目されてきたことも事実です。
Qアノンがメインストリームに
そして2020年はQアノンにとって大きな年でした。Qアノンとは小児性愛者のエリート集団が、世界的な児童性売買を行っているという根拠のない理論です。

またQアノン信者 は、「悪魔を崇拝するカバール」がトランプ氏の大統領職に対して陰謀を企てていると考えており、ウェルネスブロガーやライフスタイルインフルエンサーなどが、ソーシャルメディアのプラットフォームでこの理論を推進してきたようです。
コンテンツを迅速に削除しないことへの批判に直面し、YouTube、Twitter、Facebookのすべてが正式に、米国の選挙前にプラットフォームからQAnonのコンテンツを排除することを発表しました。
ジョナサン・スワンが世界的ミームに
トランプ米大統領とオーストラリア人ジャーナリスト、ジョナサン・スワン氏の1対1のインタビューは忘れることができません。
トランプ大統領が1対1のインタビューに応じることはとても珍しく、この数ヶ月後に行われた『60ミニッツ』とのインタビューのように、大統領が席を外すことはありませんでした。

何よりも注目を浴びたのが、トランプ大統領から回答を得たスワン氏の豊な表情の数々です。これらはその後、動画やGIFなどとしても拡散されたようです。
スワン氏がコロナウイルスの死者数について、大統領に挑戦するインタビューはこれまでに5000万回の再生を記録。大統領の誤報に、厳格なジャーナリズムで立ち向かったスワン氏には世界から賞賛が集まり、一夜にして有名人となりました。
ブラックライブズマター
ブラックライブズマターの運動は10年以上続いていますが、5月にミネアポリスの警察官がジョージ・フロイドさんを殺害したことから、これまで以上に話題となりました。

新型コロナウイルスの世界的な大流行の中、各国で抗議の声が上がり、ブランドをはじめ、スポーツ団体、メディア企業、組織などが、反人種差別や包摂政策との関係を見直すことになりました。
警察の暴力に関してアフリカ系アメリカ人が不釣り合いな扱いを受けていることに対して、活動家らは政治家に行動を起こすよう圧力をかけ、「Defund the police(警察予算を打ち切れ!)」というスローガンが叫ばれるようになりました。
一方オーストラリアでのブラックライブズマター運動は、オーストラリアの先住民の扱いに焦点が当てられました。1991年に行われた拘留中の先住民の死亡に関する特別調査委員会以来、拘留中に400人が死亡したと言われています。
元政治的ライバルの急接近

時間がすべての傷を癒すと言いますが、マルコム・ターンブル元首相とケビン・ラッド元首相の仲の良さは、まさにその証拠かもしれません。労働党と自由党の元党首であった2人は、これまで対立を続けてきましたが、ラッド元首相の「オーストラリアのニュースメディアの多様性に関する王立委員会」を求める請願書に共通の目標を見出したことで、急接近しました。
ラッド元首相はルパート・マードック・グループのメディアの所有権について主に批判しており、同グループがプリントメディアの70%を所有していると述べています。
火木土の夜10時はおやすみ前にSBSの日本語ラジオ!
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