オーストラリアの消防士と山火事の生存者が一致団結し、世界のリーダーたちに、今後10年間のうちに二酸化炭素の排出量を削減するよう訴えました。
気候変動対策を求める山火事の生存者たちからなるグループ「Bushfire Survivors for Climate Action」の代表を務めるジョー・ドッズ氏は、昨夜、グラスゴーで開催されたCOP26国連気候サミットにおいてスピーチを披露。
「Climate Council」と「Emergency Leaders for Climate Action」が共催したイベントで、「2050年までに正味ゼロにする」という「曖昧な」目標は「さらなる絶望」をもたらすだけだと訴えました。
「私は山火事の生存者を代表し、壊滅的な山火事の影響を直接受けた何千人ものオーストラリア人の声を届けにきました」
「私たちには希望が必要です。希望がなければ、復活も、回復力も、再生もありません」
「私はここグラスゴーのCOP26に、希望を訴えるためやってきました。漠然とした2050年の目標は、私たちに希望をもたらすものでも、必要な排出削減をもたらすものでもなく、さらなる絶望をもたらすだけです」
ドッズ氏は、2019/2020のブラックサマー・ブッシュファイヤーで実家が焼失した海外在住のハナ・パリスさんのほか、カナダのブリティッシュ・コロンビア山火事サービスの先住民担当者であるティファニー・トラバースさん、カリフォルニア州のルーサー・オフィス・アンド・パワー・ポリシーのディレクターであるレジーナ・バンクスさんらとともに登場しました。

President of Bushfire Survivors for Climate Action, Jo Dodds. Source: Supplied
「私は世界の指導者たちに、この恐ろしい火災の根本な原因である化石燃料の燃焼に対処するよう求めるため、今日、世界中の人々と共にここに立っています」と訴えました。
「火が見えてからでは遅いのです。今こそ行動を起こすときです」
イギリスのザ・タイムズ氏には、このほどオーストラリアのコミュニティが資金提供した「Emergency Leaders for Climate Action (ELCA)」の一面広告が掲載されました。広告ではブラックサマー・ブッシュファイヤーで撮影され、世界中で報道された、激しく燃える家を横切るカンガルーの写真が掲載され、「まるで(自分たちの)命がかかっているかのように」化石燃料を段階的に廃止するよう呼びかけています。
「Emergency Leaders for Climate Action(ELCA)」はオーストラリアの元救急隊長34名で構成される団体です。
「2019-20年の夏、オーストラリアは火の海になりました」「460人以上の人々が亡くなり、30億匹の動物が命を落としたり、住処を失いました。何千もの家が破壊されました」
「しかし、最悪な事態は今も進行中です。気候変動が壊滅的な巨大な山火事を助長しているのです。消防士たちは最善を尽くしていますが、我々のリーダーを含め、世界の指導者も私たちと共に立ち上がる必要があります」と掲載されています。
気候審議官でELCAの創設者であるグレッグ・マリンズ氏は、壊滅的な山火事は「地球上の地獄」だと表現。

The full-page ad placed in UK newspaper The Times by the Emergency Leaders for Climate Action. Source: Supplied
「誰もがもうあのような経験をしたくないと思っているはずですが、残念ながら気候変動により、それを避けることはできないでしょう」
「COP26で影響力を持つ多くの参加者の目に触れることになるであろうこの広告は、生命、財産、環境を守るためには、この10年間で大幅な排出量削減が必要であるというメッセージを発信しています」とマリンズ氏は述べています。
また、オーストラリア政府は「汚染をもたらす化石燃料にしがみついて事態を悪化させようとしている」ようだとも述べました。
「もう時間切れです。言い訳や意味のないスローガンは通用しません。目を覚まし、煙の匂いを嗅ぐ時が来たのです」
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デベン卿は、オーストラリアの排出量に関する野心は「大きな失望」であるとし、モリソン政権には2030年までに排出量を削減する具体的な計画がないと非難しました。
オーストラリアは今回の気候サミットで、40カ国が署名した石炭からの転換を目指す公約を支持せず、また100カ国以上が署名した、2030年までにメタンガスの排出量を30%削減する公約も支持しませんでした。
火木土の夜10時はおやすみ前にSBSの日本語ラジオ!