テンポラリービザ保持者 国境再開対象から除外

オーストラリア人と永住者は、州のワクチン接種率に応じて国境の再開が発表されましたが、対象外となったテンポラリービザ保持者からはショックの声が広がっています。

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Temporary visa holders Philippa (centre left) and Victor (right) have been excluded from the re-opening of international borders in November. Source: Supplied

メキシコ出身のビクターさんは、今年12月に家族と2年ぶりに再開し、5年ぶりとなるクリスマスをともに過ごせることを楽しみにしてきました。

しかし、先週金曜日に連邦政府が発表した国境再開計画は、彼のプランを打ち砕いてしまいました。

スコット・モリソン首相は、今年11月より、ワクチンの2回接種率80%を達成した州から国境が再開すると発表しましたが、対象となるのはオーストラリア人と永住権保持者です。

また、オーストラリアに帰国する人は、現在ニューサウスウェールズ州と南オーストラリア州で試験的に実施されている7日間の自宅隔離が導入される予定です。

モリソン首相は「今こそオーストラリア人の生活を取り戻す時」と述べた一方で、政府は、テンポラリービザ保持者の海外旅行再開については現在検討中であることを明かしました。

ビクターさんにとってこの取り決めは、今後オーストラリア人がメキシコを旅行できる一方で、彼が家族と再開できないことを意味します。

「動揺しています。閉じ込められたような気分です」とビクターさんは、SBSのThe Feedに述べました。
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Victor believes temporary visa holders who are fully-vaccinated should have the same travels as Australians. Source: Supplied
ビクターさんは、シドニーで修士号を取得した後、グラジュエート・ビザで働いています。ビクターさんの雇用主は、彼のスポンサーになることを計画していましたが、会社がCOVID-19により大きな影響を受けたため、現在はスポンサーになることができません。

「COVIDビザを申請しなければならず、今は次に何をすべきかを考えています」とビクターさんは語ります。

ビクターさんのように現在多くの人が、オーストラリアを離れ次いつ戻れるかわからない状況に置かれるか、家族から離れてオーストラリアに留まる選択を迫られています。

ビクターさんの故郷では昨年、新型コロナウイルスが猛威を振るい、多くの知人が命を落としました。当時母親からは、何があっても戻ってくるな、これまで頑張ってきたスポンサービザの取得を棒に振るな、と言われたと振り替えり、「とてもつらい会話」であったと言います。
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Victor hasn't seen his family in two years. His hometown in Mexico has been hit hard by the virus. Source: Supplied
ワクチンの2回接種を終えているビクターさんは、政府が承認したワクチンを受けているテンポラリー保持者が、なぜオーストラリア人と同じ待遇を受けられないのか、理解に苦しむと語ります。

「私たちはオーストラリアでしばらく暮らしきてました。働き、税金を納めてきました。ワクチンも受けました」

「なぜ旅行が許可されないか、理解できません」

フランス出身のフィリパさんも、細かい詳細を読むまでは、金曜日の国境再開のニュースに興奮していたと語ります。

「私たちが(国境再開の対象者から)除外されていることを知って、大変ショックを受けました。正直、悪夢のようでした」とフィリパさんはThe Feedに語りました。

「私たちはオーストラリアがロックダウンされる中、しっかりとルールを守り、ワクチン摂取の目標や経済に貢献してきました」

「私たちが市民や永住者と同等の扱いを得られないという事実は、胸に応えました」
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Philippa (centre-right) is desperate to see her family in France after more than two years apart. Source: Supplied
2年前に来豪したフィリパさんは、世界で最も長い期間ロックダウンを実施した街となったメルボルンで暮らしています。

今年もまた、クリスマスを家族とともに過ごせないことに「胸が張り裂けそう」だと言います。

「オーストラリア市民である私のシェアメイトは、パリでクリスマスを過ごし、エッフェル塔を観光するなど、楽しい休暇を過ごすことができます。しかし、今の段階で私は、最近60歳と70歳になったばかりの両親に会いに行くこともできません」

「旅行を楽しめる人がいる一方で、私は愛する家族に会うことすらできません」

フィリパさんは永住権の申請も検討しましたが、移民弁護士によると、現在のウェイティング期間は12ヵ月から18ヵ月です。

「永住権の申請は容易ではありません。あらゆるステップがあり、すぐに取得することもできません」

ビクターさん同様にフィリパさんも、テンポラリービザ保持者がいつ帰国できるか、明確にしてほしいと訴えます。

「アレックス・ホーク移民相に、いつ家族のもとに戻れるのか、明確にしてほしいと訴えたい」

「これは住む場所の問題だけではありません。人との繋がり、好きな仕事…引っ越して根を下ろすことで得られる捨てがたいものばかりです」

内務省のスポークスマンは、The Feedに対する声明で「一時的なビザ保持者を含む外国人は、免除されたカテゴリーに含まれない限り、オーストラリアへの入国には引き続き旅行免除が必要」と述べています。

つまり、外国人は現在、オーストラリアを出国することはできますが、免除を受けなければ再入国はできないということです。

「一時的なビザ保持者を含む外国人の渡航・入国要件に関する詳細は、オーストラリアの出口戦略が4つのフェーズを進む中で提供される予定」と広報担当者は述べています。

また来月導入が予定されている変更の際に、配偶者ビザやパートナービザを取得している人が「直系家族」としてみなされるかという質問に対しては、回答を避けました。

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Published

By Eden Gillespie
Presented by Yumi Oba

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