トイレットペーパーの買いだめ、本当に必要?

生活必需品の「パニック買い」が問題になっています。

AFP

A man prepares to buy 150 rolls of toilet paper at a store, as people begin to panic buy in Los Angeles, California. Source: AFP

コロナウイルス(コビッド-19)の世界的な感染の拡大によるサプライチェーンの混乱を受けて、各地で消費者による生活必需品の「パニック買い」が問題になっています。

オーストラリアでもトイレットペーパーなどが店頭から姿を消しました。ですが、現実的にトイレットペーパーを自宅に備蓄する必要があるのでしょうか。

オーストラリアの製紙業界を調査する市場アナリスト会社インダストリーエッジによると、オーストラリアでは二人世帯が1年間に必要なトイレットペーパーの量は25キログラムとなっています。

木材パルプ業界で25年の経験を持ち、インダストリーエッジの社長を務めるティム・ウッズ氏はSBSのDatelineに対し、トイレットペーパーを買いだめすることは全く必要のないことだと説明します。
IndustryEdge
Australia's toilet paper production for the last decade. Source: IndustryEdge, 2019

約3分の2が国産

トイレットペーパーの世界的な生産地は中国ですが、インダストリーエッジによると、オーストラリアではトイレットペーパーの約3分の2(約31万トン)が国産です。

さらに国内のトイレットペーパーの生産能力には余裕があり、必要に応じて生産を増やすことができます。

中国からトイレットペーパーを輸入する際には、商品が到着するまで17~22日間かかります。「スーパーマーケット各社は自社のストックを工場に確保しています。また中国からの供給が完全に止まったわけではありません」とウッド氏は語ります。

QUTのゲーリー・モーティマー教授は公共放送ABCに対し、トイレットペーパーの家での在庫切れがどうしても心配な人について、「店頭で買い占めるのではなく、オンラインで注文し自宅に配達してもらう」ことを提唱しています。

ほかの生活必需品は?

一方、UNSWビジネススクールのチュンリー・ツェン准教授は、ウッド氏よりも慎重な見方です。一般的にサプライチェーンはもろいものであり、消費者と生産者は商品がいつもそろっていることを当たり前だと考えるべきではないとしています。

コロナウイルスの感染拡大による影響は、その商品によって変わります。例えば、電子機器やマスクの供給は実際に大きく影響を受けています。

チュンリー准教授は、生産者やサプライヤーに対して、物資や材料などの仕入れ先を一つの地域に集中させないようアドバイスしています。

首相とスーパー大手が協議

連邦政府のスコット・モリソン首相は品不足に対応するため、スーパーマーケット大手ウールワースと同コールズと協議を行いました。首相はソーシャルメディアなどで拡散されている空の陳列棚の写真に言及し、写真のような状況は広い範囲では起こっておらず、スーパー2社の対応案にも満足していると語っています。

各小売大手は、店頭での商品の補充を増やしているほか、トイレットペーパーやコメ、手指の消毒液など品薄の商品について1回に購入できる量を制限しています。

英語記事はこちら

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Published

Updated

By Junko Hirabayashi, Emily Jane Smith
Source: SBS Dateline

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