今年11月にカタールで開催されるサッカーワールドカップの予選大陸間プレーオフが、現地時間の6月13日にカタールのアルラヤンで行われ、オーストラリア代表「サッカルーズ」が、PK戦の末、ペルーを5-4で制し、5大会連続6回目のワールドカップ出場を果たしました。
ともに前大会に続く大陸間プレーオフとなったオーストラリアとペルーは、互いにチャンスを作るも、得点につなげることができず、スコアレスのまま延長戦へ。
延長後半、PK戦を予想したオーストラリアのグラム・アーノルド監督は、PKを得意とするキーパー、アンドリュー・レッドメインを、キャプテンでもあるマシュー・ライアンの代わりに投入。
レッドメインはキッカーを前に、腕を大きく振りながら相手を幻惑させ、サドンデスとなったペルー6人目のシュートをはじき、オーストラリアを5大会連続のワールドカップ出場へと導きました、
瞬く間にオーストラリアのヒーローとなったレッドメインですが、試合後「私はヒーローではありません。他の選手同様に自分の役割を果たしただけ」と謙虚にコメント。
またゴール前で腕を大きく振る"ダンス"が、オーストラリアのキッズバンド、ザ・ウィグルズの踊りに似ていると、ソーシャルメディアでは話題を呼びました。
レッドメインが所属するAリーグのシドニーFCで、アカデミーのゴールキーパーコーチを務める伊藤瑞希さんは、ホイッスル直前でのレッドメインの起用について、「勇気のあるものだった」とコーチングスタッフに敬意を示しました。
レッドメインに交代したからと言って、確実にPKを止めて試合に勝てる保証は全くなかったと振り返る伊藤さんは、逆にサッカルーズの絶対的な守護神で、代表のキャプテンも務めるライアンを交代させて挑んだPKは「結果的に成功を収めたから美談になっていますが、とてつも無いリスクを伴っている決断であった」と語ります。
またレッドメインを代表チームに招集し続けている理由に、今回のような場面が想定されていたと伊藤さんは言います。
5大会連続出場を決めたサッカルーズですが、近年結果を残すことができないことも事実。
「2006年W杯で日本代表を倒した時に活躍をしていたゴールデンジェネレーションと言われる世代は、もう現役でプレーはしていません。そして、年々、Aリーグの観客数は減り、ピーク時のような注目はありません」
しかし、レッドメインのように、国内リーグから国際舞台で活躍する選手の存在は、オーストラリアのサッカー界において、大きな意味を持つと伊藤さんは語ります。
「国内リーグで活躍をすれば代表チームに選出されて、そこでの活躍次第で、国外移籍ができるパスウェイが生まれているのです。これは、島国でありFIFAランキングで決して上位とは言えないオーストラリアとしては、国内リーグに更に注目を集める観点でもとても重要なことです」
GKに関しては特に、オーストラリアの選手は国外で活躍できる可能性を持っていると話す伊藤さん。
「それはマシュー・ライアンをはじめ、マーク・シュワルツァーやマーク・ボスニッチなどといった歴代や現役のGKたちが証明しています。ライアンやレッドメインの活躍で、オーストラリアでさらに、GKに注目が集まることを、この国の未来に関わっているGKコーチとして強く願います」
大陸間プレーオフを制したオーストラリアはこれにより、カタール大会でフランス、デンマーク、チュニジアと同じグループDで戦います。
一方、グループE入りを果たした日本は、スペイン、ドイツ、明日開催される大陸間プレーオフ、コスタリカとニュージーランドの勝者と戦います。
FIFAワールドカップカタール2022は11月21日に開幕し、全64試合が、SBSで無料で独占生放送されます。
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