オーストラリアの花屋にとって書き入れ時である2月14日、バレンタインデー。
しかし、日本ではチョコレート職人やそのスイーツの販売を手掛ける店舗にとって1年で最も忙しい時期となり、コンビニからデパートまで、商品棚はチョコレートで埋め尽くされます。
大手デパートや百貨店の多くは1月中旬からバレンタインデーまでチョコレート博覧会を開催し、その年に販売されるチョコレートやスイーツのラインナップを紹介します。
日本のバレンタインデーの歴史
バレンタインデーにチョコレートを贈る日本の習慣の始まりは諸説ありますが、最も古い説は1932年までに遡り、神戸の洋菓子店がバレンタインデーにチョコレートを贈ることを提唱したのが最初とされています。
バレンタインデーをきっかけに、チョコレートを販売する菓子メーカーが増え、各社のマーケティング戦略によって「女性が男性にチョコレートを贈る」文化が定着していきました。
日本記念日協会によると、日本におけるバレンタインデーの経済効果は、過去10年間、常に1200億円を超えています。
日本全国に20店舗を展開するパースのショコラティエ、中村有希さんによると、バレンタインデーは店の年間収入の80%を占める一方で、パース店ではわずか3%にとどまります。
ビジネスにとって重要な記念日であるバレタインデーのこの時期、中村さんは日本全国の店舗を訪れ、すべてが順調に進んでいるかを確認しています。

Credit: Yuki Nakamura
「フォーサイス家は男兄弟がほとんどなのでみんなでチョコの数を競い合っていました。特に次男は毎年1人では食べきれない量のチョコを貰っていて、弟やチョコ好きの長女にいつもあげていました」
日本の文化に慣れていた右京さんは、来豪後、オーストラリアは男性から女性に何かプレゼントする真逆の文化であることを知り、驚いたと話します。
「どちらにせよバレンタインはロマンティックな日に変わりないのでチョコを貰えなくてもフォーサイス家にとって特別な日に間違いないです」
多様化するバレンタインのチョコレート
一昔前のバレンタインデーは、女性から男性にチョコレートを贈るのが主流で、「本命チョコ」と「義理チョコ」に分類されていました。
本命チョコは彼氏や旦那さん、恋人候補など恋愛対象に贈られ、義理チョコは同僚や男友達などに感謝の気持ちを込めて贈られることが多いようです。
しかし、最近では市場に変化が見られると中村さんは言います。
「自分用(自己チョコ)や友達用(トモチョコ)に購入される方が多くなっています」
市場調査会社インテージが昨年行った調査によると、80%以上の女性が、チョコレートは高価なだけでなく、形式的なものになりすぎたとして、義理チョコ文化に参加したがらないそうです。また、50%以上の男性が、このような伝統的な行事に参加したくないと回答しています。
芸術と産業の祭典
市場が変化しても、全国のショコラティエにとってバレンタインデーはこれまでも、そしてこれからも、「芸術とその業界を祝う日」であると中村さんは話します。
「日本にはたくさんのショコラティエがいて、競争も激しい。市場は飽和状態です。だから、他の店やブランドと差別化するために、何か新しいこと、特別なことをすることが求められています」
「自分の技術や伝えたいことを表現する良い機会です」

Credit: Yuki Nakamura
国内最大級のオンラインマーケットと提携している「ベストプレゼントランキング」によると、バレンタインデーのプレゼントランキングでチョコレートに次ぐ2位は靴下、3位はブランドキーケース、4位はハンカチ、5位はボクサーショーツとなっています。
ホワイトデーとは?
フォーサイス家のボーイズたちにとって、バレンタインデーはエキサイティングな1日である一方で、その1カ月後の3月14日には、チョコレートをもらった人がお返しをするホワイトデーがやってきます。
本命チョコをもらった人はもらった金額の2〜3倍、義理チョコをもらった人は同額かそれ以上のお返しをするのが、80年代に日本で始まった風習です。
「フォーサイス家はお小遣いがなかったので、ホワイトデーは母が沢山のお菓子を買ってきてくれて、それをチョコをくれた人たちに兄弟がそれぞれ配っていました」
現在では、中国、韓国、台湾、ベトナムなど、東アジアの他の地域でもこの習慣は行われています。
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