子供たちの新たな教育環境を求め、2019年に来豪した荒木史江さんと夫の浩幸さん。
新天地となったユーカイは、NSW州北部・バイロン・ベイから1時間ほど内陸に入った、人口800人弱の小さな町です。
2020年には3人目となるお子さん、天晴(てんせい)君が家族に加わり、三知(みち・12歳)さんと煌陽(こうよう・10歳)君と、家族5人で大自然に囲まれながら幸せな生活を送っていました。
しかし、天晴君の授乳が終わり、数ヶ月経った今年、史江さんは、それまでなかった胸のしこりに気がつきます。

From Right: Kouyou (10years old), Michi (12),Tensei (1) Source: Fumie Araki
脇の下に「コブみたいなしこり」が出てきたことに気づき、その後、ステージ3の乳がんであることがわかります。42歳での告知でした。
ガン宣告直後は「焦りや恐怖、不安で、気持ち体も落ち込んで、家族もすごく落ち込ませてしまった」という史江さんは、その後自身の病気について周りの人々に伝える中、「たくさんの励ましや大きな愛を届けてもらい、自分と向き合おう」と決意したと言います。
「今はしっかり受け止めて、この先にある何かに繋がっているためのことだ」とポジティブに捉え、癌になったことに「感謝さえ感じる」と語ります。

Fumie has learnt the importance of staying positive through her experience. Source: Fumie Araki
気持ちと体は繋がっている、ポジティブであることが大事
今まで、食生活に関しては気をつかい、健康を維持している自負があったという浩幸さんは、史江さんの病気についてとても驚き、落ち込んだと同時に、自分たちの生活や考え方などを、「いろんな方面から大きく変えるチャンスなんだ」という結論に至ったとし、今は「新しい道を探しはじめているところ」と語ってくれました。
日本では美容師として活動していた浩幸さんは、オーストラリアで美容師としてビザを取るのが難しく、現在は学生ビザで、1週間20時間の限られた労働で家族を養っています。それでもオーストラリアに残るのは、「オーストラリアが大好きだから」。
「今すぐこここを離れることは考えられない」と話す史江さんは自然に囲まれた環境だからこそ、病気と向き合えると、オーストラリアで治療に励むことを決めました。

Hiroyuki is on student visa, so trying to support his family with 20hours a week has been a challenge Source: Fumie Araki
「みなさんからいただいた励ましや愛への感謝を伝えたい」、そして同じように癌で苦しんでいる人や、その他の病気、普段の生活で辛いことを経験している人と「今の気持ちをシェアしたい」と今回取材に応じてくれた荒木夫妻。
「今は残念と感じても、長い目で見るとその先のもっと素晴らしいことに繋がるための通過地点なんです」
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