Key Points
- オーストラリアでは、ソーシャル・ハウジングの需要が供給を大きく上回っています。
- ソーシャル・ハウジングの申請は、各州・テリトリーごとに設けられた登録制度を通じて行われます。
- 家賃の負担が重くのしかかる“レンタルストレス”は、誰にでも起こり得ると専門家は指摘します。
- アフォーダブル・ハウジングは、ソーシャル・ハウジングと一般の賃貸住宅の中間に位置する制度で、家賃が補助される仕組です。
家賃が安く設定されている住宅制度は、聞き慣れない言葉が多く、少し分かりにくいことがあります。
たとえば、「パブリック・ハウジング」と「コミュニティ・ハウジング」。これらは、同じ仕組みの中にある別のカテゴリーです。
ソーシャル・ハウジング、パブリック・ハウジング、コミュニティ・ハウジングとは?
オーストラリア住宅都市研究所(AHURI)のマネージングディレクター、マイケル・フォザリンガム氏は、それぞれの違いについて次のように説明します。
ソーシャル・ハウジングとは、パブリック・ハウジング(公営住宅)とコミュニティ・ハウジングを含む総称です。
このうち、パブリック・ハウジングは州政府が所有・管理しています。
一方、コミュニティ・ハウジングは、政府と連携する非営利の住宅団体が管理しており、多くの場合、その団体が住宅を所有しています。

住宅支援の対象は?
ソーシャル・ハウジングやパブリック・ハウジング、コミュニティ・ハウジングといった長期的な住宅支援の利用条件は、各州政府が定めています。
「州・テリトリーごとに基準があり、似てはいますが同じではありません。」(フォザリンガム氏)
多くの州・テリトリーでは、主に低所得世帯が住宅支援の対象となります。
「家庭内暴力から逃れている人や、障がいのある人など、特別な事情や弱い立場にある人も対象に含まれます。優先順位や資格要件には、さまざまな基準があります。」
移住者も住宅支援の対象になる?
移住してきたこと自体は、ソーシャル・ハウジングの利用資格を判断する基準には含まれていません。
つまり、「移住者である」という理由だけで対象になるわけではありません。
もちろん、移住者でも、条件を満たせば利用できます。
住宅支援の申請方法は?
ソーシャル・ハウジングのウェイティングリストに登録するには、地域の住宅当局に申請します。
申請の際は、必要な書類を提出し、利用資格の審査を受ける必要があります。
詳しい情報や申請手続きについては、各州・テリトリーの住宅当局のウェブサイトで確認できます。
オーストラリアにソーシャル・ハウジングはどのくらいある?
2024年6月時点で、オーストラリア国内のソーシャル・ハウジングはおよそ45万2,000戸あります。これは、国内の住宅全体の約4%にあたります。
そのため、市場全体から見ると、ソーシャル・ハウジングは大きな割合ではありません。
「需要が供給を上回っているため、資格審査や住居の確保に時間がかかることもあります。」(フォザリンガム氏)

公営住宅の待ち時間はどのくらい?
オーストラリア保健福祉研究所(AIHW)のデータによると、2023~24年度の公営住宅の平均待ち時間はおよそ18ヵ月です。
待ち時間は、申請者の状況や住んでいる地域によって異なり、同じ州・テリトリー内でも差があります。
フォザリンガム氏は、都市部だけでなく地方でも需要が供給を上回っていると指摘します。
「現在、多くの州・テリトリーが地域全体で住宅供給を増やそうとしています。つまり、首都圏だけの問題ではないということです。特に地方の中心都市では、はっきりとした需要があります。」
ソーシャル・ハウジングを選ぶ・利用する理由
ソーシャル・ハウジングをめぐっては、「入居者は特別に弱い立場にある人たちだ」といった固定観念がよく見られます。
クイーンズランド大学社会科学部の研究員で、住宅と健康の関係を研究しているステファニー・プラーガ氏は、これが最も一般的な誤解だと指摘します。
ソーシャル・ハウジングの入居者は、ほかの住宅と同じように多様です。Dr Stefanie Plage
人々がソーシャル・ハウジングを選ぶ、あるいは利用せざるを得なくなる大きな理由のひとつが、家賃の負担、いわゆる「レンタルストレス」です。
「長期的に社会的に不利な状況にある人もいれば、最近になって生活が厳しくなり始めた人もいます。ただ共通しているのは、家賃を支払うのが難しくなっているという点です。」(プラーガ氏)
住宅価格の高騰も大きな要因です。
「これまで住まい探しや賃貸契約に困ったことがなかった人でも、今では誰にでも起こり得ると実感するケースが増えています。」(プラーガ氏)

アフォーダブル・ハウジングとは?
「アフォーダブル・ハウジング」は「ソーシャル・ハウジング」と同じものだと誤解されがちですが、別の制度です。
アフォーダブル・ハウジングは、ソーシャル・ハウジングよりも補助の度合いが低い仕組みで、内容は州やプログラムによって異なります。
ビクトリア州の住宅機関「ホームズ・ビクトリア」のCEO、サイモン・ニューポート氏は、これを住宅制度の「ミッシング・ミドル」と表現します。
「住宅支援の流れを大きく見ると、まず入り口にはホームレス支援などのサポート付き住宅があります。その次に、公営住宅やコミュニティ・ハウジングといったソーシャル・ハウジング。そして、そのソーシャル・ハウジングと民間の賃貸住宅の間に位置するのが、アフォーダブル・ハウジングです。」
アフォーダブル・ハウジングは、低所得から中程度の所得層を対象に、市場価格より安い家賃で住まいを提供する制度です。
「一般的に、市場家賃の75%以下、つまり市場価格より少なくとも25%安い水準で提供されています。」(ニューポート氏)
アフォーダブル・ハウジングはどう申請する?
アフォーダブル・ハウジングのプログラムは、コミュニティ住宅事業者が運営しており、ソーシャル・ハウジングの待機者リストとは別の仕組みです。
そのため、各コミュニティ住宅事業者に直接申請します。
こちらから確認できます。
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