暴風雨や洪水の被害、生活回復へのステップ

Severe Storm Continues To Lash New South Wales

If you had to evacuate, only return home once your state emergency service (SES) has given official clearance. Credit: Tony Feder/Getty Images

近年オーストラリアでは、より激しく頻繁に暴風雨や洪水が起きています。風が緩やかになり、水が引き始めてから、家に安全に戻り元の生活に戻るにはどのようにしたらよいでしょうか?災害を受けたあとの、回復までの重要なステップを専門家に聞きました。


Key Points
  • SESが公式にそのエリアの帰宅許可を出しているときのみ、自宅に戻りましょう。そして、建物に構造上の損壊、電気の危険、予期せぬ野生動物が家に入り混んでいる場合の予防措置をとってください。
  • 掃除をする前に、保険補償申請のため、すべての被害を記録します。また、政府からの財政補助情報を常にチェックしましょう。
  • カビを防ぐために、家を急いで乾燥させます。すべての表面を消毒し、清掃時には保護服および保護マスクを着用してください。
  • 回復には時間がかかります。必要なときにはメンタル・サポートを受けましょう。また、コミュニティのつながりを求め、周りの人と助け合いましょう。
暴風雨や洪水の被害にあったあと、できるだけ早く元の生活にもどりたいと考えるのは当然です。しかし、その前に安全を最優先に考える必要があります。

安全に自宅に戻る

あなたが避難をしていた場合には、家に戻る前に、州緊急救援局(SES)が公式に帰宅許可を出していることを確認することが必要となります。

自宅に戻ることができる時は、保存食、ボトル入りの水、現金、懐中電灯、電池、掃除用具を持っていきましょう。
冠水している道路を運転しないようにしてください。また、近くで木が倒れていたり、切れている電線は電気が通っているかもしれません。そのような場所を回避するようにしましょう。

家についたら、中に入る前に、構造的な損傷がないかを見て確かめましょう。また、電気・ガスを元栓から止めてください。

家のなかに安全に入る

ニュー・サウス・ウェールズ州SESのコミュニティ担当官ドロシー・トラン氏によると、家の中に入るときにも注意が必要だと話します。
「家の中に入るときには懐中電灯を使いましょう。入る前に、どんな電気製品のスイッチも入れてはいけません。電気スイッチを入れる前に、資格のある電気技師によって安全を確認することが必要です。」

被害にあった家を見て途方に暮れるかもしれません。できれば、最初は子どもやペットを連れていかないことを勧めます。

家の中に入ることができるようになったら、怪我をしないよう服装も重要です。すべらない頑丈な靴、厚手の手袋、厚手の長袖シャツを身に着けましょう。

そして、予期しない来客がすでにいるかも知れないことに注意しましょう。洪水のあとには、鳥やカエルなどが建物内部に避難することがあります。ヘビやコウモリは専門家に駆除をしてもらいましょう。

Queenslanders Begin Clean Up In Wake Of Ex-Cyclone Debbie
Dry out your home quickly to prevent mould, disinfect all surfaces, and wear protective gear when cleaning. Credit: Glenn Hunt/Getty Images

保険および財政サポート

もし、保険に入っていれば、掃除をする前にすべての被害を記録します。それには、写真・ビデオをとり、被害の詳細を記録しましょう。保険の請求プロセスは早めに始めましょう(関連ポッドキャスト

オーストラリア保険協会、広報担当ゼネラルマネージャーであるマシュー・ジョーンズ氏は、できるだけ早く保険会社に連絡することを推奨しています。

「手続きを進めている際に、他の損害も追加することができます。」

仮の住居や、だめになった食料の保障など生活に必要最低限の支払いを即座に提供する保険会社もあります。

National Debt Helplineで、無料の財政カウンセリングを受けることができます。

政府の災害支援もまた受けることができます。DisasterAssist.gov.au で新しいサポート支援がないか常にチェックしてください。

掃除と洗浄:迅速に行動しましょう

さらなる被害やカビを防ぐために、できるだけ早く家を乾燥させはじめましょう。窓やドアを開け放すことから始めましょう。電気が戻ったら、扇風機、除湿機、ヒーターを使いましょう。(オーストラリア赤十字ガイドライン

洪水の水に接触した表面はすべて消毒し、いったん水に接触した食べ物はすべて廃棄します。

ドロシー・トラン氏は次のように説明します。
「洪水の水は汚染されているからです。科学薬品、人や動物の糞尿などです。ですから廃棄するか、念入りに消毒してから再利用してください。」

強力な化学薬品を使用する場合やカビを除去する場合は、防護できる服に加えて専用のマスクを着用してください。カビは特別な方法で清掃する必要があります。(詳しくはこちら)ときには、専門家が必要となるでしょう。

心身の健康を優先する

カビは深刻な健康リスクをもたらす可能性があります。救急医であり、公衆衛生と災害の専門家であるライ・ヘン・フーン医師によると、喘息患者など特定のグループが特に危ないと警告します。

フーン医師は、他にも洪水後健康リスクがあると話します。
「汚染された食べ物から、下痢や嘔吐。ジェネレーターから、一酸化炭素中毒。ロスリバーウイルスやバーマフォレストウイルス、また日本脳炎などの蚊を媒体とした病気などの脅威があります。」

災害からの復興は、物理的なものだけではなく、心理的なものもあります。(オーストラリア赤十字の詳しい説明はこちら

Eastern Australia Faces Ongoing Flood Emergency
You can assist others by volunteering with local organisations or donating to relief efforts like the Red Cross. Credit: Dan Peled/Getty Images
オーストラリア赤十字社の復旧・緊急サービス担当マネージャーであるエリン・ペリー氏は、心身の回復には時間がかかると話します。

「人々は多くの場合、災害発生後、数週間数ヶ月で、災害前の生活に戻ると考えています。経験から、私達はもっと長い期間かかると知っています。人々は様々な優先順位を持ちます。学校はまだ閉鎖されているかどうか、保険会社とのやり取り、さまざまな助成金の申請、あるいは単に家の掃除をしなければならないことなどです。」

ペリー氏は、自身のケアを重要視します。それは単に歩くとか、お茶を飲むということから始まるかもしれません。
子どものサポートは、特に重要です。日常のルーチンを保つ、不安を聞いてあげる、自分の心の健康に気を配ることはすべて役に立ちます。(オーストラリア赤十字の詳しい説明はこちら

コミュニティの持つ力

災害後に、となり近所の様子を確認することは、大きな違いを生みます。

エリン・ペリー氏は、こう話します。
「ほとんどの人たちが、災害のあと友達、家族、近隣の住民に助けられています。人々が互いに助け合うことが、災害後の生活に耐えることができる鍵となるのです。」

人生で最初のサイクロンをニュー・サウス・ウェールズ北部で経験したアンドリーヤナ・ミーラーさんは、コミュニティの持つ強さに感動したと話します。
「私達は、Ocean Shores というフェイスブック・グループを持っています。そこでは、通りで何が起こっているか、例えば、誰が水を、インターネットを持っていて、誰が持っていないか。誰か、子どものためのものや、ミルクを持っていないかなどです。または、誰かがどこかに行った時に、どこかで倒木があるなんて情報を写真で共有します。そんなささやかなつながりが続いているのです。」

Clean-up Continues Following Torrential Rain And Flooding
In addition to your protective clothing, wear a respirator if you’re using strong chemicals or cleaning up mould. Credit: Dan Peled/Getty Images

あなたはどのように他人を助けることができるでしょうか?

地元の団体でボランティア活動をしたり、赤十字のような救援活動に寄付したりすることで、他の人を助けることができます。

ですが、時には、最もシンプルな行動が大きな影響を与えることもあります。

「誰かが気にかけてくれていること、自分の経験に耳を傾けてくれていること、そして起こったことを受け入れる手助けをしてくれていることを知ることは、被害にあった人にとってとても大切なことです。物やお金を寄付する必要はありません。誰かと心を分かち合い、耳を傾け、相手の不安を聞くことです」(エリン・ペリー氏)

もし、体調に不調がある場合には、かかりつけ医(GP)または、テレヘルス(オンラインでの遠隔医療サービス)へ連絡してください。

メンタルヘルスサポートはこちらから:
  • Lifeline (13 11 14)
  • Beyond Blue (1300 22 4636)
  • Kids Helpline (1800 551 800)
Lifeline と Beyond Blueは無料通訳サービス(TIS)を使うことができます。
通訳サービスが必要な方は、まず131 450に電話をして「ジャパニーズ・プリーズ」と伝えましょう。そこから通訳を通じてサポートサービスにつなげてもらいます。

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