ケイティ・ヘイリーさんは、パートナーに殺害されたその夜、ソーシャルメディアのアカウントをチェックし、バッグに荷物を詰めて、パートナーとの関係を断とうとしていました。
メルボルン出身のウェイトレスで2児の母でもあったケイティさん(29)にとっては、自立するための行動であり、それは彼女が4年間に渡り耐え続けてきた、不透明で誤解されてきた虐待の実態を衝撃的に浮き彫りにするものでした。
ケイティさんの家族はその後、フェイスブックなどをトラッキングするような一連の支配的な行動は、ほとんどの場合、暴力的な虐待に先行するということ、そして殺人は多くの場合、交際関係における身体的暴力の最初の兆候であるということを、残酷な形で知らされます。
ケイティさんの物語は、SBSの新ドキュメンタリーシリーズ「See What You Made Me Do」の第1部(全3部)で、放送されたものです(SBSオンデマンドで視聴可能)。家庭内暴力の複雑な性質を探るこのシリーズを、司会者で作家のジェス・ヒル氏は「パラダイムを変える番組」と呼んでいます。
ケイティさんが亡くなった2018年、オーストラリアでは63人の女性が現在または過去のパートナーに殺害されました。

「この番組は、強制的なコントールが、真実に最も近い人にでさえ、いかに頻繁に、そして致命的に誤った解釈をされているかを認識するよう呼びかけるものです」と、ケイティさんの妹であるビアンカ・アンウィンさんは語ります。
23歳のビアンカさんは、SBS Voicesのインタビューで、幸せな関係がほとんど気づかないうちに暗転していったことを振り返りました。サポートワーカーとして働くビアンカさんは、シェーン・ロバートソン受刑者によるケイティさんへの虐待の最初の兆候について、「最初はただの会話に過ぎなかった」と語ります。
最初は、ケイティさんのフェイスブックの友達についてコメントしたり、男性と仲良くするのをやめさせたりして、ケイティさんをソーシャル・グループから孤立させていきました。彼の嫉妬心が強まったのは、2人の間に女児が誕生した後でした。ビアンカさんいわく、ケイティさんは父親が写っていない、子供にフォーカスした写真を投稿していたことについて、シェーン受刑者にひどく叱られたと言います。
彼は常に彼女の写真の話題を持ち出し、家族を会話に巻き込もうとしたと言いますが、それを「彼がただ理由もなく不安である」と、ビアンカさんら家族は解釈していました。
「2人の間では怒鳴り合いや喧嘩がありましたが、それは公の場で見せることはありませんでした。それは誰も見ていない場所で行われていたのです」
彼の監視は、インスタグラムからスナップチャット、フェイスブックメッセンジャーにまで及び、ケイティさんのオンライン状態は常にチェックされていました。そのため、ケイティさんは「数え切れないほど」アカウントを停止したと言います。ビアンカさんによると、ケイティさんは仕事のため、ソーシャルメディアを利用していたとし、実際にケイティさんが働いていていたカステロズ・ビクトリアン・タバーンからの名簿や最新情報がグループチャットに投稿されていました。
「ケイティがオンラインであるのに、シェーンに返信していなければ、彼はメールや電話で執拗に嫌がらせをしてきました 」とビアンカさんは振り返ります。ケイティさんは、家を出てから職場に到着するまで、そして仕事を終えてサインアウトした直後も、シェーン受刑者と電話をしていなければなりませんでした。
シェーン受刑者は、女性になりすましてフェイスブックやインスタグラムの偽アカウントを作成し、それを利用してケイティさんの同僚の男性たちに近づき、チャットを始め、ケイティさんが浮気性で魅力的で信用できないとほのめかしました。彼はケイティさんに対して、何度も自分を裏切っている、と訴えました。
このようなことが幾度と起きていたものの、その都度「親密な関係だから」と誤った解釈がされてきたとビアンカさんは言います。何度も送られてくるメールは、「あなたのことが好きでたまらないから」というのが「社会的な常識になっている」と語り、当時はこのようなメールについて、「ケイティとともに、笑い飛ばしていた」、と振り返ります。
「このような会話をしていたのに、起こっていることの重大さがわからなかったなんて信じられないです」、「この問題を軽視していました」。
シェーンが殺人罪で24年の実刑判決を受けている今、このドキュメンタリーシリーズはビアンカさんにとって、支配的な行動に対する過小評価を改め、危険な家庭内虐待であるというレッテルを貼るチャンスでもあります。その第一歩は、曖昧な兆候を知ることだと彼女は言います。
「今にして思えば、彼女が閉じ込められていると分かった瞬間に行動を起こせばよかったと思います。彼女が彼からのメールや電話から逃げられないと分かった瞬間、それもソーシャルメディアでのやり取りになる前に、介入していればよかったと思います」とビアンカさんは言います。「今となっては、それが危険信号であることを理解していますし、それがどれほど小さなことから始まったかを強調したいと思っています」。
ケイティさんが亡くなる6日前、父親のボイド・アンウィンさんはシェーン受刑者に対して、ケイティさんを虐待しないように注意し、シェーン受刑者は「ケイティには絶対に手を出さない」という安心感を与えていました。しかしその同じ週、彼はビアンカさんに対して、「ケイティが浮気をしている」という自分の誤った考えを認めてほしいと訴えていました。ビアンカさんはシェーン受刑者に対して「妄想に過ぎない」と述べたといいますが、「それは今思うと、彼の支配力に傷をつけるようなことであった」と考えています。
ケイティさんは殺害されたその夜、何の恐れもなく、彼をまだ愛していると信じながらも、帰宅したであろう、とビアンカさんは語ります。ケイティさんは彼の良いところに焦点を当て、子供たちのために強く生きようと決意していたのです。しかし、ソーシャルメディアのアカウントをチェックし、バッグに荷物を詰めて、パートナーとの関係を断とうとした結果、彼の怒りは致命的なレベルまで達し、バーベルを使って彼女を殴り殺したのです。
ビアンカさんは、忠実で勇敢であった姉のことを胸に、強制的なコントロール下にいる愛する人をサポートする最善の方法は、「孤立を極める状況の中で、つながりを保ち、信頼を維持すること」だと言います。
今年2月、ビアンカさんは父親とともに、強制的なコントロールを受けている人のためのフェイスブック・サポートグループ「Keep Trying Domestic Violence Support」を立ち上げました。彼女はこれを、加害者の立場を逆転させ、ソーシャルメディアを利用してエンパワーメントすることだと考えています。二人は、自分たちに助けを求めてくる女性や男性の多さに驚いていると話します。
「ソーシャルメディアは人を殺すものではありません。人を殺すのは、その利用方法です」とビアンカさんは言います。「ソーシャルメディアや携帯電話で束縛されていると感じる人は、それがドメスティックバイオレンスの一種であることを認識することが非常に重要です。身体的な虐待がないからといって、それが身体的な虐待に発展しないということではありませんし、より深刻な強制的コントロールへの入り口でないということでもありません」。
「違和感を感じた瞬間、何かがおかしいと感じた瞬間、安心してそれを話し、あるがままに認める必要があるのです」。
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あなたやあなたの知り合いが家庭内暴力や性的暴行を受けている場合は、1800RESPECT/1800 737 732に電話するか、1800respect.org.auにアクセスしてください。怒りや人間関係、子育ての問題を抱える男性のためのカウンセリング、アドバイス、サポートについては、Men's Referral Service(1300 766 491)に電話するか、ntv.org.auをご覧ください。
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