オーストラリアで先住民アートや工芸品を正しく購入するには?

Australia Explained - Indigenous Art

According to Productivity Commission estimates, three quarters of Indigenous-style souvenirs in the Australian market are made overseas. Credit: Richard I'Anson/Getty Images

アボリジナルおよびトレス海峡諸島民のアート作品は、意味のある買い物になりますが、本物で倫理的に作られたものかどうかを見極めるのは簡単ではありません。オーストラリアでは今も偽物が出回っており、保護の仕組みも十分とはいえません。今週のオーストラリア・エクスプレインドでは、購入時に確認したいポイントや、どんな質問をすればよいのか、そして安心して購入できる場所を紹介します。選び方に気を配ることで、ファースト・ネーションズのアーティストやコミュニティの支援につながります。


Key Points
  • オーストラリアでは、先住民の文化的・知的財産を守るための法整備が進められています。
  • アボリジナルやトレス海峡諸島民のアートや工芸品を販売する側に対して、適切な質問をすることが重要です。
  • 本物のファースト・ネーションズの作品を購入することは、アーティストやコミュニティ、そして購入者にとっても利益の共有につながります。

    本物のファースト・ネーションズのアート作品は、6万年以上にわたり世代を超えて受け継がれてきた文化的遺産の一部であり、高い文化的・芸術的価値を持つと考えられています。

    では、こうした先住民のアートや工芸品は、オーストラリアで保護されているのでしょうか?

    先住民のアートや工芸品の保護

    「先住民の文化的・知的財産(ICIP)」とは、アボリジナルおよびトレス海峡諸島民の伝統的な知識や文化的表現全般を指します。

    その中でも、シンボルやデザインはICIPを代表する分かりやすい例のひとつです。

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    A carved wooden fish from the Torres Strait Dauan Island community. Credit: Oliver Strewe/Getty Images

    「しかし、ICIPは作品そのものだけを指すものではありません。」

    そう話すのは、クアンダムーカ族出身の知的財産弁護士、ステファニー・パーキン氏です。

    「ICIPには、目に見えない要素もすべて含まれます。作品の背景にある物語や、その作品が生まれるまでにアーティストに影響を与えたもの、そしてその表現のあり方などです。」

    慣習や意味はコミュニティごとに大きく異なるため、地域ごとの文脈を理解することが重要です。

    オーストラリア政府は、ICIPを保護するための具体的な法律の導入を進めており、「偽物のアートや商品、土産品による被害への対応」も含まれています。ただし、こうした保護の仕組みは現在も整備が進められている段階です。

    パーキン氏はまた、2007年の上院調査を受けて設立された全国組織「インディジナス・アート・コード」の会長も務めています。

    この団体は、企業やアートディーラー向けの自主的な業界行動規範を通じて、アーティストとその作品の保護に取り組んでいます。

    偽物のアートの問題は、何十年にもわたって続いてきました。アーティストの収入に影響するだけでなく、文化的な損失やコミュニティへの影響も指摘されています。
    Stephanie Parkin

    先住民アートを責任ある形で購入するには?

    インディジナス・アート・コードの理事を務める、ウォナラア族出身のアーティストでデザイナー、そして実業家のサレッタ・フィールディング氏は、オーストラリアの先住民のアート作品を購入することは「倫理的な意味合いだけでなく、文化的な理解を伴うプロセスでもある」と話します。

    フィールディング氏は、消費者に向けて次の3つのポイントを挙げています。

    • 作品の真正性を見極める
    • 信頼できる販売ルートを選ぶ
    • 適切な質問をする
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    Saretta Fielding says asking the right questions is key. Credit: Saretta Fielding 2021/Raymond Kelly

    本物で倫理的に取引された先住民アートは、どこで購入できる?

    本物の先住民アートや関連商品は、カントリーとのつながりを持つ先住民アーティストによって制作されたもの、またはアーティストの許可を得て複製されたものを指します。

    倫理的な販売ルートを通じて購入することで、収益がアーティスト本人やコミュニティに還元されます。

    パーキン氏によると、購入方法はいくつかあり、アーティストから直接購入するほか、先住民アートのフェア、または国内に100以上ある先住民アートセンターを利用する方法があります。

    また、店舗やウェブサイトに黒と赤の「インディジナス・アート・コード」のロゴを掲げているビジネスやギャラリー、アートディーラーを選ぶのも一つの目安です。これは、アーティストとの倫理的な取引に自主的に取り組んでいることを示すもので、消費者が安心して購入するための目安となります。

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    Any piece of Aboriginal and Torres Strait Islander art over $250 should come with a Certificate of Authenticity. Credit: Aboriginal Art Co.

    先住民アートや工芸品を販売する人に、どんな質問をすればよい?

    オリジナル作品でも、ライセンスを受けたデザインの複製でも、アーティストについてや、そのカントリーとのつながり、どのような条件で取引されているのかを確認することが重要です。

    アーティストのサレッタ・フィールディング氏は、こうした情報を把握し、適切な質問ができるようになることが第一歩であると話します。

    また、インディジナス・アート・コードのウェブサイトに掲載されているアドバイスも参考になります。

    例えば、次のような質問から始めることができます。

    • アーティストは誰ですか?
    • 出身地(出身のカントリー)は?
    • アーティストにはどのように報酬が支払われていますか?
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    Dot painting is one of the many forms of Aboriginal art, and varies from region to region. Credit: Marianna Massey/Getty Images

    アボリジナルやトレス海峡諸島民のアートは、すべて同じ?

    アボリジナルやトレス海峡諸島民のアートを倫理的に購入することは、その多様で奥深い文化を、アーティストやコミュニティがより多くの人々に伝え続けていくことにつながります。

    アーティストから直接購入することは、多くの場合、そのコミュニティの支援にもつながります。
    Saretta Fielding

    オーストラリアのファースト・ネーションズのアートは、何千年にもわたる歴史を持ち、今も進化を続けています。

    その表現は多様で、数百にのぼる言語グループや文化の数だけ、さまざまな形式やスタイルがあります。

    フィールディング氏は、「アボリジナルのアーティストはみな同じだ」という思い込みには注意が必要だと指摘します。

    「私たちは多様で、地域や遠隔地だけでなく都市部でも暮らしています。そして、本物のアボリジナルアートを市場に届けるために取り組んでいます。」

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