Key Points
- オーストラリア国内すべてのIVFクリニックのデータは、政府資金で運営されているウェブサイトで公開されています。
- 専門家は、不妊治療クリニックを選ぶ際、複数のポイントを比較・検討することを勧めています。
- 政府による助成が受けられる不妊治療の対象かどうかを、事前に確認しておくことが大切です。
- 不妊カウンセリングは、あなた自身やパートナーの治療について、起こり得るさまざまな結果を理解し、心の準備をする助けになります。
1978年に世界で初めて体外受精(IVF)が成功して以降、これまでに世界でおよそ1,000万〜1,300万人の赤ちゃんがIVFによって誕生したと推計されています。
オーストラリアは、人口あたりのIVF実施件数が世界でも多い国のひとつです。
最新の統計によると、2022年にオーストラリアで生まれた赤ちゃんのうち、16人に1人はIVFによって授かったことが分かっています。
この数字は、Australian and New Zealand Assisted Reproduction Database (ANZARD)が収集したデータに基づくものです。
この研究ユニットを率いるニューサウスウェールズ大学のジョージーナ・チェンバース教授によると、国内で行われたすべてのIVFサイクルは報告されているといいます。
「すべてのIVFサイクルについて、クリニックから100%の報告を受けています。報告がなければ、業務規範や認可契約に違反することになります。」

ANZARDのデータは、yourivfsuccess.com.auというウェブサイトで一般に公開されています。このサイトは、特定のクリニックとは独立して運営されており、オーストラリア政府の資金によって支えられています。
このサイトでは、IVF治療に関する全国統計や基本情報に加え、利用者が自分の状況に合わせて使える個別対応のオンラインツールも提供されています。
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そのひとつが、IVF治療を受ける女性が、成功率を推定できるツールです。
「年齢やパートナーの年齢、診断がある場合はその内容、これまでに受けたIVF治療の経歴など、自身に関する情報を入力することで利用できます。」(チェンバース教授)
IVFクリニックの選び方
IVFクリニックの成功率を、オーストラリア全体の平均と比較できるオンラインデータベースもあります。
利用者は、クリニック名で検索することも、郵便番号を入力して自宅近くのクリニックを探すこともできます。
ただし、自分に合ったクリニック選びは簡単なものではなく、成功率だけで判断すべきではないと専門家は指摘しています。

Fertility Society of Australia and New Zealandの会長を務めるペトラ・ウェール氏は、IVFをめぐるよくある誤解について、次のように説明しています。
「料金が高いクリニックほど良いとか、新しい技術を使っていれば必ず成功する、という考えはよくある誤解です。」
「自分の話をきちんと聞き、選択肢を分かりやすく説明し、治療の過程を通じて支えてくれること、そして一人ひとりのニーズを理解し、それに応えようとしてくれることが、適切なクリニックだといえます。」
受精や胚の培養を専門とするウェール医師は、不妊治療クリニックを選ぶ際、治療方針について次のような質問をするよう勧めています。
- 透明性や科学的な厳密さが、どのように確保されているか
- どのようなサポートサービスが提供されているか
- 一人ひとりの状況やニーズに合わせた治療が行われているか
- 文化的な背景や配慮が治療に反映されているか

IVF治療にはどんな専門家が関わる?
不妊治療を受ける際は、複数の専門職で構成される医療チームと関わることになります。
チームには、検査を行い治療方法を提案する不妊治療専門医、治療をサポートする不妊治療専門の看護師、検査室で胚を扱う胚培養の専門家、そして不妊カウンセラーなどが含まれます。
IVFにかかる費用は?
IVFを含む不妊治療は、費用が高額になることがあります。多くの場合、全額、または民間の医療保険を通じて、一部を自己負担する必要があります。
条件を満たす場合は、メディケアによる払い戻し(リベート)を受けられることがあります。また、州やテリトリーの保健サービスによっては、政府資金による不妊治療が提供されている場合もあります。
どの支援や制度が自分に当てはまるのかは、必ず主治医に確認するようにしましょう。
ビクトリア州で公的医療制度を通じて不妊治療を提供している医療機関のひとつ、ロイヤル・ウィメンズ・ホスピタルで上級不妊治療コンサルタントを務めるアレックス・ポリアコフ准教授はこう話します。
「公的な不妊治療サービスでは、まずGPからの紹介を受け、その後、必要な検査をすべて行います。その結果をもとに、必要に応じた治療が進められます。」
IVFは唯一の選択肢なの?
「大切なのは、IVFが最初のステップではないということです。実際には、いくつかある不妊治療の中で、最後に選ばれる方法です。」(ポリアコフ准教授)
不妊治療にはこのほかにも、排卵を促す治療や、子宮内に精子を注入する人工授精など、さまざまな方法があります。

IVFを選ぶ際に受けられるサポートは?
州やテリトリーによっては、特定の不妊治療を受ける際に、法律で不妊カウンセリングが義務づけられている場合があります。
ウェール医師は、心のケアもとても重要だと話します。不妊治療の過程では、パートナーとの関係や、さまざまな決断に直面することがあり、精神的なサポートが助けになるといいます。
「サポートがあるかどうかで、大きな違いが生まれます。患者さんがつらさを感じているとしたら、それは失敗ではなく、助けを求めるサインなのです。」
また、不妊は決して珍しいことでも、恥ずかしいことでもありません。
「社会のあらゆる層、あらゆる文化、あらゆる民族で起きています。」
「家族を持ちたいと願う気持ちは尊重され、支えられるべきものであり、それこそが不妊治療の本質です。」
※ここで紹介している内容は一般的な情報です。詳しくは、主治医や医療専門家にご相談ください。






