Key Points
- オーストラリアでは、日焼け止めとほかの紫外線対策と併用することは必須です。
- 紫外線による害から身を守る日焼け止めの効果は実証されています。
- 日焼け止めを使い始めるに遅すぎることはありません。重要なのは正しい使用法です。
- 専門家が推奨する日焼け止めは、TGA承認のSPF30またはSPF50+の、ブロード・スペクトラム対応、耐水性の日焼け止めです。
オーストラリアでは皮膚がんの罹患率が世界で最も高く、皮膚がんの発生という点でオーストラリアは「世界の首都」となっています。
オーストラリアで確認された皮膚がんのほぼすべてが、紫外線(UV)を浴びすぎることで引きこされます。
オーストラリアで皮膚がんやメラノーマは珍しくない?
ニューサウスウェールズ大学の皮膚科部長で、シドニーチルドレンズホスピタルの小児皮膚科医、またメラノーマ・インスティテュート・オーストラリアのボードアドバイザーを務める、リンダ・マーティン博士が説明します。
「オーストラリア人の3人に2人が、生涯に皮膚がんを罹患します」。
メラノーマ(悪性黒色腫)では、生涯における罹患リスクは15人に1人です。
「これは、キンダーガーテン(小学校入学学年、日本の幼稚園年長に相当)に今年入学する子どもたちのクラスで考えて、クラスの3分の2が将来皮膚がんを罹患し、1~2人がメラノーマを罹患するということになります」。

皮膚がんはどうやって防げるの?
できることはあります。日々の行動のなかで、紫外線を浴びる量を管理することです。
マーティン博士は、まずは屋外で過ごす時間を制限すること、そして紫外線のレベルを見ていつ外出するかを決めることです。
1980年代にオーストラリアで育った人の多くは、皮膚がん予防を目的とした紫外線対策のスローガン「Slip, Slop, Slap」を聞いたことがあるでしょう。現在はこれが進化し、効果が実証された5つのステップになっています。
- Slip 長袖のシャツなど紫外線から身を守る服装をする
- Slop SPF 30以上、ブロード・スペクトラム、耐水性の日焼け止めを塗る
- Slap つばの広い帽子をかぶる
- Seek 日陰を探す
- Slide サングラスを付ける

日焼け止めは皮膚がんを防ぐ?
日焼け止めは紫外線対策の一つに過ぎませんが、しっかりと使用することは大切です。
オーストラリアの研究によると、日焼け止めの使用が皮膚がんの予防に効果があることが示されています。
マーティン博士は、日焼け止めを毎日使うことで皮膚がんの罹患率が減少したこの研究「Nambour Trial」についてこう語ります。
「10年間の追跡調査後、毎日日焼け止めを使用したグループのメラノーマ罹患率は半減しました」
「日焼け止めには確かに効果があり、メラノーマを予防することが示されました。たとえ50歳から毎日日焼け止めを使い始めても、決して遅すぎることはありません」。

SPFって何?
日焼け止めの包装にはSPF(サン・プロテクション・ファクター、紫外線防御指数)が記載されています。
SPFの数字が大きいほど、日焼け止めの効果は長く続きます。
オーストラリアで日焼け止めを規制する薬品・医薬品行政局(TGA)は、SPFが30以上であれば、紫外線からの保護効果は十分だとしています。
一方、がんのチャリティー団体キャンサー・カウンシルは2024年8月1日、オーストラリアで入手できる最も高いレベル、SPF50+の使用を推奨しています。
日焼け止めの正しい使用法は?
日焼け止めの効果を確実にするには、正しく使わなければならないと、ニューサウスウェールズ大学の物理化学者、アナ・ワン准教授が説明します。
2時間ごとに塗りなおし、十分な量を塗ること、外出する20分前には塗り終えていること、すべてが重要ですアナ・ワン博士
たとえ耐水性(water-resistant)の日焼け止めであっても、2時間ごと、泳いだ後、汗をかいた後、そしてタオルで拭いた後には塗りなおします。
紫外線が当たる体の部位1つについて、約5ミリリットル(ティースプーン一杯分)を使うようにします。
どの日焼け止めを選べば良いの?
太陽からの紫外線には、主にUVA(A波)とUVB(B波)の二つの種類があり、どちらも皮膚がんの原因となります。
ワン博士は、そのため、UVAとUVB の両方を防ぐブロード・スペクトラムと表示されている製品を選ぶことが大切だと語ります。
「UVBは日焼けを引き起こします。そしてUVAは(中略)DNAを傷つけ、がんにつながります」。

また、TGAが認可した日焼け止めを使うことも大切です。アデレード大学の薬理学者で毒物学者のイアン・マスグレイブ氏はこう説明します。
「スーパーマーケットや薬局で日焼け止めを買うと、容器の底面に『AUST-L』と長い番号が記載されています。これはTGAによる審査を受けた製品であるということです」。
日焼け止めを使うとビタミンDが足りなくなる?
マスグレイブ博士は、日焼け止めを使うことでビタミンDが不足するとの懸念は、オーストラリアでは該当しない、と語ります。
「オーストラリアの紫外線はとても強く、それほど日光に当たらなくても十分なビタミンDを生成できます」。
日焼けやがんを防ぐために使う日焼け止めの量は、ビタミンDが十分に生成されるのを防ぐほどの量ではありませんイアン・マスグレイブ博士
ミネラル系?ケミカル系?家で手作りする日焼け止めは?
TGAが認可した日焼け止めは、安全性が長年にわたり実証されている成分を適切な量で使用しています。
すべての日焼け止めは化学物質から作られています。「ミネラル・オンリー(mineral-only)」と表示されているものもそうです。
ケミカル系とミネラル系の日焼け止めはどちらも、作用の仕方が異なるだけで、安全で効果があります。マスグレイブ博士が説明します。
「正しく塗ればどちらも同等の効果を発揮します」
「ミネラル系の日焼け止めは、酸化亜鉛などの鉱物が紫外線を基本的に反射する仕組みです。一方のケミカル系の日焼け止めは、有機化学物質の構造が紫外線を吸収する仕組みです」。

日焼け止めの製造には高度な技術が使われています。そのため、手作りレシピで自宅で再現することはできません。市販品を使用してください。
ニューサウスウェールズ大学のアナ・ワン准教授はこう語ります。
「日焼け止めがいかに高度な技術を必要とする製品なのかが、あまり理解されていません」
「日焼け止めの開発者は、使用感良く肌を守ってくれる製品を作るために、何十年もかけて研究を重ねているのです」。
最後に、価格と日焼け止めの効果は関係ありません。
ワン博士によると、自分は最も頻繁にかつ正しく使用できる日焼け止めを選ぶことが一番です。
この記事に含まれるのは一般的な情報です。個人の状況に関する助言を得るには、資格を持ったメディカルプラクティショナーにご相談ください。






