目に見えないウイルスによるパンデミックは、世界中の人々に不安や恐怖、ストレスをもたらせてきました。
シドニーの作曲家でピアニストの中田みささんは、先の見えないこの時期だからこそ、一緒に乗り越えたいという思いで、楽曲『Together We are One』を作曲しました。
2月6日にリリースされた『Together We are One』は、「平和で自由に行動できた2019年から、いつか夜が明けるように、努力しつつ待つ2021年へと、私たちの心の陰陽をイメージ」して作曲したと言います。
人生の切なさ、命の儚さを表すため、パンフルートという楽器を使用。
「心の奥深くに届く曲に仕上がっています」
オーストラリアではパンデミックによる被害は比較的少なく、COVIDノーマルな生活へ戻りつつありますが、他国へ目を向ければ終息には程遠いと言えます。
「今なおコロナ感染のため不安で暗い日々を送っておられる方々へ、世界は一つ。競ったり戦ったりするのでなく、私たちが一つになって先の見えない今を乗り切りましょう」という思いがこの曲に詰まっています。
コロナの影響により、中田さんも昨年はじめて、オンラインレッスンを導入することになりました。普段は生徒の隣で、細かく指導を行えていたレッスンも、画面越しとなると、インターネットの環境やカメラの位置など、基礎的な知識も必要であったと語ります。
その一方で、慣れた自宅環境からレッスンを行うことで、普段は人見知りをしていた生徒が自然に話せるようになったという利点もありました。
中田さんのピアノとの出会いは6歳の頃。父親からもらったレコードに収録されていた曲が気に入り、自分でも弾きたい!という思いから、レッスンを始めました。ピアノの世界に魅せられた中田さんはその後、大阪音楽大学部のピアノ科、そして卒業後は作曲科へと進み、最終的にはバークリー音楽大学でジャズピアノや映像音楽作曲などを学びました。

Misa Nakata's Sydney studio Source: Misa Nakata
「コアラのいるオーストラリアに住むことが私の運命だった」と振り返る中田さんの父親は、仕事上、世界中を訪問しており、もらった数あるお土産のなかでもオーストラリア土産であったコアラのぬいぐるみが大のお気に入りで大切していたと言います。
日本では高校の音楽教師として活動し、教育の最先端にいた一方で、自分の娘には日本のような教育ではなく、「好奇心を持ち続ける事ができ、自分の人生を切り開いていく力を育む教育を受けさせたい」「一度しかない人生を思い通りに生きてみよう」という思いで来豪。事業移住ビザで日本から来豪した初代メンバーのひとりでもありました。
20年間にわたり、不動産会社を経営したうえ、そこで遭遇した世界中のカルチャーや、楽しいこと、難しいことなど、さまざまな経験を作曲に生かしたいと、再び音楽の世界へ。

Source: Misa Nakata
「自分の中の創作意欲をかきたてる作曲をしている時間が一番楽しいのです。何度も何度も弾いて、思い通りの良い曲になるまで膨らませていく、そんな試行錯誤をする時間が好きなのです」
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