風と一緒に移動する魅力 プロ熱気球パイロット・石原三四郎さん

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Credit: Sanshiro Ishihara

メルボルンでプロの熱気球パイロットとして活躍する石原三四郎さんにお話を聞きました。 石原さんが、父親の趣味だった熱気球に初めて乗ったのは3歳の頃。その後も趣味で熱気球に乗っていましたが、29歳で日本で勤めていた会社を辞め、オーストラリアでプロの熱気球のパイロットとして働く決意で来豪しました。はじめは英語もうまく話せなかったと言う石原さんですが、現在はプロのパイロット7年目、24人乗りの観光の大きな熱気球を操縦しています。


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Credit: Sanshiro Ishihara
石原さんは日本で29歳まで熱気球とは関係のない自動車の部品メーカーに勤め、趣味で熱気球に乗っていました。仕事として気球にお客さんを乗せたいという思いがずっとありましたが、日本にはプロという、お客さんを乗せてお金をもらうというプロのシステム、事業用のライセンスが存在しないということです。どうしても仕事として、一生やっていきたいという思いで、ワーキングホリデーのビザが取れる最後の歳、29歳でオーストラリアに来る決断をしました。 
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Credit: Sanshiro Ishihara
その決断に対し、親は自由にさせてくれたので止められたり心配をされたりはしなかったですが、他の人には帰国後に仕事がない可能性や30歳になると英語を覚るのも大変なんじゃないかと言われたということです。

しかし、石原さんは日本に帰ることは考えていませんでした。
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Credit: Sanshiro Ishihara
日本と日本以外の国のライセンスのシステムは全く違う、と言う石原さん。オーストラリアでは熱気球は航空機という扱いで分類されますが、日本ではそうではないそうです。日本のライセンスを書き換えるということができないので、オーストラリアで1から試験を受ける必要がありました。

来豪当初は英語があまりできなかった、と言う石原さんは、日本食のレストランで働いたり草刈りの仕事をしながら英語の勉強をしたということです。
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Credit: Sanshiro Ishihara
また石原さんは、英語を勉強するということだけではなく、オーストラリアの習慣を吸収しなければならなかったことが、戸惑った部分だったと語ります。

日本の先輩・後輩のルールや時間に関しての社会のルールのようなものに慣れていた石原さんにとって、オーストラリアの習慣は非常にリラックスしたものでした。なかなかはじめは馴染めなませんでしたが、他所から来たのは自分なので慣れるしかない、と思っていたそうです。 

そしてその後、石原さんは熱気球のグランドクルーの仕事を手にします。グランドクルーの仕事は、パイロットと一緒に熱気球の準備をし、パイロットが飛び立った後に長いトレイラーのついた車を運転してバルーンの着陸地に行き、またパイロットと後片付けをするという仕事だそうです。またお客さんとのコミュニケーションを多く取る仕事でもあるそうです。気球好きのローカルの人には人気の仕事ですが、まだ英語を勉強中だった石原さんがどのように掴み取れたのでしょうか。

英語のネイティブではないので圧倒的にコミュニケーション能力では勝ち目がない、と思った石原さん。自分が行う仕事の内容で追いつくしかない、と考えましたが、仕事を覚えるためには仕事をしなければいけません。雇ってもらえていない石原さんが、仕事を覚えるには、グランドクルーとして働いていたホームスティ先の人に3、4ヶ月毎朝無報酬でついて行ったとのこと。そのようにして仕事を覚え、また自分の、仕事に対する姿勢を見てもらったということです。
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Credit: Sanshiro Ishihara
石原さんの操縦する気球のサイズは、45万キュービックフィート、地面から縦35メートル20センチ、また横幅約30メートルという、オーストラリアで最大のサイズです。

パイロットは、バーナーを炊いて気球の球皮の中の空気を温め、気球を上昇させ飛ぶとのことです。球皮の中の温度が下がると、気球は下がります。この上下運動しかない熱気球、どのようにして水平の方向に移動させるのでしょうか。

高さによって風の向きが違うので、熱気球を自分が行きたい風の方向、またスピードがある高さのところまで上げてそこに留まることによって、そのうち行きたい方向に行くことが可能になる、と石原さんは説明します。


風が運んでいってくれる熱気球は、スピード自体は出ているが、風と一緒に動くので風は感じない、と言う石原さん。風と一緒に移動する、というのが石原さんの思う熱気球の魅力だと語ります。バーナーで火を炊いていないときはほぼ無音の熱気球が、速いときは60~70キロメートルのスピードで風と一緒に無音で進み、移動しながらその風景を窓無しで見ることができるということが一番の魅力だとのことです。
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Credit: Sanshiro Ishihara
いわゆる「普通」の概念や、周りの意見を聞いてから決めるよりも、自分がしたいからやる、自分ができるところまでとりあえずやってみる、ということを大切にしている石原さん。自分が好きなことを、これ以上行けないというところまで進んでみるっていうのが物凄く大事で、また、今の仕事が出来るのは、幸運は勿論のこと、色んな人に助けてもらったが、最後は自分がどうしてもやりたいという気持ちを持ってやれば叶うんじゃないかなと思う、と語ります。

そして石原さんは6月からアフリカのケニアで4ヶ月程、熱気球パイロットの仕事をする予定だということです。
世界中色んな所を飛んで回りたい、という気持ちがあるのでアフリカの後は違う国に行ったりするかもしれない、と、石原さんの空は広がるばかりです。 


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