シドニーの現地校で教員として活動する小川貴士さんが競技縄跳びの指導をはじめたのは、今から21年前のこと。慈善団体ハート・ファンデーションが提供する「ジャンプ・ロープ・フォー・ハート」という活動の一環として、パフォーマンスチームが学校に訪れたことがきっかけでした。小学生が楽しく体を動かしながら、心臓の研究や患者のサポートのための資金を集める「ジャンプ・ロープ・フォー・ハート」。学校で披露されたそのパフォーマンスが「つまらない」、「もっといいのができるのではないか」と、自ら手を上げ、学校で募集をかけたことが始まりでした。
小学校の体育館ではじまった小さな活動は、いつしか、州大会、全国大会の常連クラブとなり、これまでに世界大会には6回出場。過去には個人15-17歳の部で個人優勝・総合優勝をはじめ、前回の世界大会では個人の三重跳で世界記録(535回)を更新するなど、輝かしい功績を残しています。

Northbridge Knockouts, senior double dutch Source: Takashi Ogawa
パフォーマンスが「つまらなかった」という理由で、縄跳び競技の世界へと飛び込んだ小川さんは、現在世界ジャンプロープ連盟で副会長をつとめ、縄跳びの草の根活動、各国のサポート、世界大会などの運営も行っています。
今年の州大会では女子の8歳、9歳、13歳、14歳、19歳+、そして男子の18歳+で優勝するなど、6月の全国に向けて多くのメダルが期待されています。そんな小川さんが、日頃から生徒に伝えているのは、「勝つことを目標にしないと意味がない。勝つためにベストを尽くす」。

FISAC-IRSF Worlds 2018 in Shanghai, China as president Source: Takashi Ogawa
ただベストを尽くすのではなく、「勝つためにベストを尽くす」。そうすることで、勝っても負けても、メダルがどんな色でも満足できると語ります。
マイナースポーツとして、「どんどん新しい良さが生まれてくる」、ジャンプロープ。お金もかからず、誰でも参加できる競技縄跳びについて知りたい方は、小川さんが指導するノースブリッジ・ノックアウトのウェブサイトをご覧ください。体育の時間で手にした縄跳びとは、また別の世界が広がるはずです。

Northbridge Knockouts, Kids Double Dutch Source: Takashi Ogawa
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