ハイライト
- 森林浴は1980年代に日本で誕生
- 自然の中で誰でも手軽にできる瞑想で、肉体的・精神的健康と癒やしを得ることができます
- 森林セラピーは、現代人のストレスや不安を軽減する方法とする研究結果があります
昔から自然には治療や癒やしの力があると言われてきました。
16世紀に活躍したスイス・ドイツ系の医師で錬金術師のパラケルススは、「癒しの術は医者からではなく、自然からもたらされる」と述べていました。
最近の研究では、大自然の中で過ごすことが、不安やストレスを軽減し、集中力や創造性を高めることがわかっています。
SBSの新ポッドキャスト・シリーズ『Great Minds』にも、日本で誕生したこの『森林浴(Forest Bathing)』が登場し、五感を使って自然と触れ合う日本の伝統的な「森林浴」が紹介されています。
その案内人を務めるのは、シドニー在住の写真家で、森林セラピーガイドの片岡まゆさんです。
写真家としてオーストラリアの自然を撮影をするなか、森林浴と出会った片岡さんはその後資格を取得。現在は認定森林セラピーガイドとして、シドニーを拠点に活動しています。
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つらいロックダウン、自然から癒やしを 森林セラピーガイド・片岡まゆ
「森林浴は五感で自然を感じ、心を落ち着かせ、リラックスするものです」
今という瞬間に集中し、森林の中を進む中見えてくる背景や音に意識を向けることで、実現できると片岡さんは説明します。
森林浴の歴史
森林浴は1980年代の日本で、予防医学やヒーリングとして発展したものです。自然との触れ合いが健康に良いという研究結果が明らかになるなか、日本や韓国では、政府が森林浴を健康増進法として取り入れるようになりました。
自然の音に耳を傾ける、緑の中で座禅を組む、周囲の環境に目を配るなどの行為は、すべて森林浴の一種です。
森林浴の効果
森林浴は近年、科学的にも注目されています。
『Environmental Research』に掲載されたメタ分析によると、自然の中で過ごす時間が長い人ほど、複数の慢性疾患のリスクが低いことがわかりました。イースト・アングリア大学によるこの研究では、20カ国にわたる2億9000万人の参加者が追跡調査されました。
その結果、自然で過ごす時間が長いと、ストレスホルモンであるコルチゾールの濃度が低くなり、神経系が落ち着くということが明らかになったほか、心拍数や血圧を下げ、糖尿病のリスクを減らし、精神を向上させ、コレステロール値を下げ、全死亡率を減少させることもわかりました。
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