Key Points
- オーストラリアで通訳・翻訳の仕事に就くには、明確なステップがあります。
- この分野で働くには、NAATIの試験を受ける必要があります。
- 通訳と翻訳は、それぞれ別の試験として実施されます。
- NAATIが求める英語力はIELTS6ほどです。
オーストラリアでは、比較的新しいコミュニティの言語や、利用者が増えている言語において、通訳・翻訳者の不足が課題となっており、とくに医療分野では、専門性を持つ通訳者の需要が高まっています。これには、AUSLAN(オーストラリア手話)やオーストラリアの先住民言語も含まれます。
英語と需要のある言語の両方に堪能であれば、通訳・翻訳(T&I)の資格取得を検討したことがあるかもしれません。しかし、実際に仕事に就く前に、いくつかのステップを踏む必要があります。
似ているようで違う、通訳と翻訳
通訳と翻訳(T&I)は、それぞれ異なる専門職です。通訳は話し言葉をリアルタイムで伝えるのに対し、翻訳は書かれた文章を扱います。
語学と通訳・翻訳の講師であるティー氏は、「一見すると似ているように感じるかもしれません」と話します。
一般の人には、言葉を置き換えているだけのように思われがちですが、実際にはまったく異なるスキルが求められ、アプローチも大きく異なります。Tee, T&I Practitioner
ティー氏は翻訳について、あるテーマについて自分の理解を深めながら、異なる背景を持つ読者にも同じ意味が伝わるよう、どのように表現するのが最適かを練り上げていく作業だといいます。一方で、通訳にはその場で即座に対応する力と緊張感が求められます。
「その瞬間の対応力と、どれだけ入念に調査や準備をしてきたかが問われます。」

どこから始める?
通訳・翻訳への道は、まず正式な学習から始まります。TAFEの修了証から修士号まで、さまざまなレベルのコースがあります。
目的は、スキルを身につけ、認定通訳・翻訳者として働くために必要なNAATI試験に備えることです。NAATI(National Accreditation Authority for Translators and Interpreters)は、通訳・翻訳分野の基準を定め、維持している機関です。
NAATIの認定を取得すれば、多くのエージェンシーに登録でき、仕事の機会が広がるとティー氏は説明します。
「このプロセスには、準備期間として6ヵ月から最長で2年半ほどかかることもあります。」
求められる語学力とは?
通訳・翻訳の正式なコースに進むには、英語ともう一つの言語の両方で、一定の語学力を証明する必要があります。
同様に、NAATIの認定を受ける際にも、語学力を示すことが求められます。
NAATI認定コースを提供するTAFE SAの上級講師、マリーナ・モーガン氏は、英語力についてはIELTS6程度が目安になると説明します。
「また、時事問題について理解していることに加え、特定のトピックについて一般の人が知っている程度の語彙や専門用語は、少なくとも身につけておく必要があります。」

どんなコースがある?
NAATI認定のコースは数多くあり、大学やTAFEで取得できるディプロマや修了証など、目的に応じて選ぶことができます。
モーガン氏によると、最も基本的なコースは「通訳入門」または「翻訳入門」と呼ばれるスキルセットで、NAATI試験に向けた準備を目的とした12週間のプログラムです。
このコースは複数の教育機関で提供されており、仕事上のルールや倫理、通訳・翻訳の技術、リサーチの基礎を学べます。
「このスキルセットは、すでに一定の語学力があり、通訳やコミュニケーションの基本的な技術を理解していて、実質的にNAATI試験を受ける準備ができている人向けです。また、この仕事が自分に合っているかを見極めるために受講する人もいます。」(モーガン氏)
さらに深く学びたい場合は、「通訳ディプロマ」というコースもあり、こちらは1年間のパートタイムで履修できます。TAFE SAを含む一部の教育機関や大学では、オンラインでも提供されています。
なお、「スキルセット」コースは特定の言語に特化したものではありません。異なる言語を話す受講者とともに学ぶため、授業や評価は英語で行われます。
一方、ディプロマは言語ごとに分かれており、NAATI認定の通訳者から自分の言語で指導を受けます。
こうした資格を取得することで、倫理面や異文化理解に関する基準を満たしていることをNAATIに示すことができ、実際の現場で直面するさまざまな倫理的課題に対応する力となります。
NAATI試験とは?
資格の有無にかかわらず、この分野で働くにはNAATIの試験を受ける必要があります。
NAATIの試験はおよそ70の言語で実施されていると、認定試験チームのリーダーであり、認定通訳者でもあるポーラ・アパリシオ氏は説明します。
「試験が用意されていない言語については、『Recognised Practising Credential(認定実務資格)』という制度があります。これは正式な試験はありませんが、必要な研修や経験を積み、一定の条件を満たしていることを示すものです。」
入門レベルでは「認定仮通訳者(Certified Provisional Interpreter)」として認定されます。そこからレベルが上がるにつれて、会議通訳や医療・法務分野などで活躍できる、より高度な専門資格へと進んでいきます。

アパリシオ氏によると、試験は実際の仕事に近い形で行われるよう設計されています。
「通訳の場合は、2人の会話をその場で通訳したり、文書をその場で読み取って別の言語で伝える“サイトトランスレーション”が求められます。内容を素早く把握し、もう一方の言語で伝える必要があります。翻訳も同様に実務に近い形式で、実際に仕事で扱うような文章を翻訳します。」
試験は高い基準で実施されており、合格すれば全国的に認められた専門的な基準を満たしていることが証明されます。
また、通訳と翻訳は異なるスキルであるため、それぞれ別の試験を受ける必要があります。
さらに翻訳試験は、どの言語からどの言語へ訳すかによって、試験が分かれています。
英語から自分の言語に翻訳する場合は、そのための試験を受ける必要があります。私の場合はスペイン語です。逆に、スペイン語から英語へ翻訳する資格を取得したい場合は、別の試験を受ける必要があります。Paula Aparicio, NAATI
なぜ更新が必要?
認定資格は3年ごとに更新する必要があります。
そのため、通訳・翻訳者は現在も実務に携わっていることや、継続的に研修を受けていることをNAATIに示さなければなりません。
「これにより、NAATI認定を持つ通訳者・翻訳者が、十分なスキルと倫理観を備え、現在も現場で活動していることを、社会に対して保証することができます。」(アパリシオ氏)
参考情報
NAATIのウェブサイトでは、資格取得のルートや受験条件、試験内容について詳しく確認できます。
通訳者は一般的にエージェンシーを通じた契約ベースで働くことが多いため、進路を考える際には、どの言語の需要が高いかを問い合わせてみるのも一つの方法です。
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