オーストラリアでホームビジネスの始め方

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Thinking of starting a business from home? Credit: MoMo Productions/Getty Images

自宅を拠点にタクシーサービスを提供する人は、その収入額に関係なく必ず商品サービス税(GST)の登録が必要だということ、また、フィットネスインストラクターが自宅でクライアントを受け入れるには、ローカルカウンシルの許可が必要だということはご存知でしょうか? 今週の「オーストラリア・エクスプレイド」では、オーストラリアで自宅を拠点にビジネスを始める際に知っておきたい、基本的なルールについて解説します。


Key Points
  • ホームビジネスを営む多くの人は「ソールトレーダー」として登録していますが、リスクの高いビジネスには、費用はかかるものの「カンパニー」として登録する方が適している場合もあります。
  • ローカルカウンシルに必要な許可について確認。また賃貸物件でビジネスを始める場合は大家の許可を取ることが重要です。
  • 子どもや食品が関わるビジネスには、追加のライセンス取得や厳格な安全規制があります。
自宅を拠点としたビジネスは、コストを抑えられたり、フレキシブルに働けたり、多くの利点があります。

しかしビジネスを店舗で運営する場合でも、自宅やその他の場所で行う場合でも、守るべき規則があります。中にはすべての業種に共通する規則もあれば、業種や地域によって異なるものもあります。

オーストラリア税務局(ATO)のアンジェラ・アレン副コミッショナーは、自宅を拠点としたビジネスについて、「自宅の一部を業務専用のスペースとして使っているケースを指す」と話します。

「自宅でヘアサロンを経営している場合などが分かりやすい例です。」

自分の活動が税務上「ビジネス」と見なされるかどうか分からない場合は、ATOのウェブサイトで確認することができます。

税務と登録に関する義務

業種にかかわらず、ビジネスを行うには税務上の義務や各種登録が必要になります。

自宅を拠点とする場合でもそうでなくても、「タックスファイルナンバー(TFN)」と「オーストラリアン・ビジネス・ナンバー(ABN)」の取得は必要です。どちらも無料で、オンラインで申請できます。

「収入の額やビジネスの規模、従業員の有無によっては、商品サービス税(GST)、源泉徴収(PAYG)、フリンジベネフィットなど、その他の税務登録が必要になる場合もあります。」(アレン副コミッショナー)
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GST applies to all ride-sharing and taxi businesses from home. Credit: gahsoon/Getty Images
ホームビジネスでは、適切な事業形態を選ぶことが重要です。これは、税務上の義務や法的リスクの大きさに関わってきます。

オンライン法律サービスを提供する「Sprintlaw」の共同創業者、アレックス・ソロさんによると、ホームビジネスを始める個人に最も一般的なのは、「ソール・トレーダー(個人事業主)」としての登録です。

「ひとりで始めるビジネスにとっては、最も安くて手軽な方法です。オンラインで自分で手続きができます。」

一方で「カンパニー(会社組織)」を設立する場合、最低でも600ドルの初期費用がかかり、その後も維持費や税務義務が発生します。しかし最大のメリットは、「リスクの分離」にあります。

「ビジネスで何か問題が起きたときでも、個人の生活や自宅などの資産とは切り離され、責任は会社に限定されます。」(ソロさん)

ライセンスや許可の取得

自宅でビジネスを始めるには、連邦、州、またはローカルガバメントレベルでの許可や認可が必要になる場合があります。
特定の業種では、ローカルカウンシルの許可が必要になることに、多くの人は気づいていないかもしれません。
Alex Solo
これには、ウェルネス関連の専門家やパーソナルトレーナー、美容師など、自宅でクライアントと対面するほぼすべてのサービス提供者が含まれます。
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Your home business may require government approvals. Credit: Edwin Tan/Getty Images

食品・ケータリング業界

食品関連のビジネスの多くは、州政府の食品安全監督機関ではなく、まずは自分のローカルカウンシルに相談することが一般的です。

「食品ビジネスを始める際は、まず最初に地元のカウンシルに相談し、アドバイスを受けることが非常に重要です。」

そう話すのはニューサウスウェールズ州食品局の代理CEO、アンドリュー・デイビス氏。

「食品安全の観点からは、オーストラリア全土で適用される食品基準規則(Food Standards code)の要件を、施設や設備、食品の取り扱い方法が満たしていれば、自宅で食品ビジネスを行うことも可能です。」

「この基準を守ることで、食品の受け取り、保管、加工、陳列、包装、輸送、廃棄など、それぞれで求められる最低条件が分かります。」
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Home-based food businesses include food trucks, caterers, bed and breakfast accommodation and preparing food for retail sale at markets or school canteens. Credit: Alex Liew/Getty Images

自宅でのチャイルドケア

乳幼児教育者は、オーストラリア政府が一部資金提供する「ファミリーデイケア」の仕組みを利用して、自宅で働くことができます。

一般的に、ファミリーデイケアの教育者はソールトレーダーとして登録され、認可されたサービス・プロバイダーと契約を結びます。

全国組織ファミリーデイケア・オーストラリアのアンドリュー・パターソンCEOは、以下が主な必要条件であると説明します。
  • Certificate III in early childhood education and care 
  • Working with Children Check and Police Check 
  • First aid and safety qualifications 
「ファミリーデイケアは全国の法律に基づいて運営されているため、規制や安全の基準は全国で統一されています。」(パターソン氏)

ただし、ローカルカウンシルの許可を取得する必要もあり、その条件は地域によって異なると、パターソン氏は説明します。
ファミリーデイケアの認可されたプロバイダーに登録すると、ローカルカウンシルの許可や手続きに関する対応についても支援を受けることができます。
Andrew Paterson
また、ファミリーデイケアであっても、税務登録や適切な保険の加入といった一般的なビジネスの義務は当然ながら適用されると、パターソン氏は強調します。

「ファミリーデイケアは、ベビーシッターや一時的な子どもの預かりサービスではありません。この分野に入るにあたっては、自分が乳幼児教育の専門家であると同時に、ビジネスを運営しているという自覚を持つこと、そして厳しく規制された環境で働いているという理解がとても重要です。」(パターソン氏)
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If your home-based business involves collecting health information from your clients, make sure you comply with privacy laws. Credit: Frazao Studio Latino/Getty Images

始める前にサポートを

ビジネスを始めるのが初めてという方は、まず専門家のサポートを受けるのがおすすめです。

州やテリトリーの関連政府機関に問い合わせれば、助成対象のワークショップや必要な情報・アドバイスを得ることができます。

西オーストラリア州のSmall Business Development Corporationで上級ビジネスアドバイザーを務めるクリス・オヘア氏は、特に新たに起業する人に対し、財務管理と法的遵守の基本を学ぶことに投資するよう勧めています。

「弁護士や会計士がアドバイスをくれたとしても、最終的な判断を下すのはビジネスオーナーであるあなた自身です。」

多くの人が、自分のスキルを活かしたいという気持ちでビジネスを始めますが、財務を理解することは「必須」だとオヘア氏は語ります。

「お金の話は、ある意味タブー視されがちですが、資金が尽きてビジネスが続けられなくなったら、あなたのスキルで助けられるはずだった人たちも助けられなくなりますよね?」

また、賃貸物件でホームビジネスを始める場合は、早い段階で大家の許可を得ることも忘れないよう、オヘア氏は強調します。

「許可が下りない可能性もあるからです。契約違反を理由に住居の賃貸契約を打ち切られてしまったら…それは本当にショックな経験になるでしょう。」

  • 各州・テリトリーでのビジネスに関するアドバイスやサポートは下記から。
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