Key Points
- 保険を選ぶときや更新する際は、建物や家財にどんなリスクがあるかを踏まえて、何が補償の対象になり、何が対象外なのかを必ず確認しましょう。
- たとえば、洪水にはさまざまな種類がありますが、選んだ保険ですべてが補償されるとは限りません。
- 加入や更新の際には、複数の保険会社から見積もりを取り、比較することが大切です。
住宅保険には、大きく分けて「建物の保険」と「家財の保険」の2種類があります。
自分の持ち家に住んでいる場合は、建物と家財の両方を保険でカバーするのが理想的です。
一方、賃貸に住んでいる人は、家財保険だけで十分であると、消費者団体チョイスの保険専門家、ジョディ・バードさんは話します。
家財には、電子機器やスポーツ用品、宝石、医療器具から、家具、調理家電、家族の思い出の品まで、さまざまなものが含まれます。
家財保険に加入していれば、保険でカバーされている災害や事故によって家財が損傷したり失われたりした場合に、修理や買い替えの費用を補償してもらえます。
保険会社のウェブサイトなどにある「見積もりツール」を使えば、自分の持ち物がどのくらいの価値があるかを考える手助けになると、バードさんは説明します。

補償内容は必ず確認を
保険の補償範囲や対象外となるものは、「The Product Disclosure Statement (PDS) 」に詳しく記載されていますが、見落とされがちなことのひとつが、「長期間家を空ける場合」の取り扱いです。
「たとえば長期の休暇に出かけたり、リノベーション中に一時的に家を離れる場合などは、事前に保険会社に連絡する必要があります。長く留守にすると、補償の対象外になることがあるからです。」(バードさん)
一般的な住宅保険では、盗難、火災、嵐、洪水などによる被害が補償されますが、契約者の状況によって適用外となるケースもあるため、細かい条件をよく確認しましょう。
たとえば海の近くに住んでいる場合は、海水による損害が補償の対象かどうかをチェックすることが大切です。
「高潮や嵐による海面の上昇、津波などは、多くの住宅保険では補償の対象外とされています。」とバードさんは説明します。
また、火災に関連するケースでも、よく対象外となる項目があります。
「たとえばヒーターを倒して、カーペットが焦げてしまった場合。炎が出ていないため、補償の対象外になることがあります。」

住宅を購入する場合
住宅ローンを組む際には、住宅保険への加入が通常必要とされます。
保険業界団体「インシュアランス・カウンシル・オブ・オーストラリア」のCEO、アンドリュー・ホールさんは、住宅の購入を検討している人に対し、ローンなどの資金面の準備とあわせて保険の比較・検討も進めるよう呼びかけています。
「オーストラリアで家を買うときは、その地域で起こりやすいリスクにしっかり備える保険に入ることが大切です。たとえば周囲に森林が多いエリアなら、火災に対応する補償が含まれていることを確認する必要があります。」

保険の中でも特に課題が大きいは、「洪水」です。
洪水が起こりやすい地域ではリスクが予測しやすい一方で、保険料が特に高くなる傾向があるからです。
そのため、購入を検討している物件のエリアについては、不動産業者やローカルカウンシルに洪水リスクを必ず確認するよう、ホールさんは勧めています。
地域によっては、物件が洪水リスクのあるエリアにあるかどうかを教えてくれるカウンシルもありますが、オーストラリアの多くの地域ではそういった情報が提供されないこともあるそうです。
その物件周辺にどんな自然災害のリスクがあるか、自分から積極的に調べることがとても重要です。Andrew Hall, CEO, Insurance Council of Australia.
保険料の値上がりへの対応
オーストラリア全体では、少なくとも住宅の約11%が保険に未加入だと推定されています。地域によっては、その割合がさらに高くなっているところもあります。
クイーンズランド大学の戦略経営学教授で、災害保険や保険の補償ギャップに関する国際的な専門家でもあるポーラ・ジャザブコウスキー教授は、人々が保険に加入しない、あるいは必要な補償額に満たない保険にとどまる背景にはさまざまな理由があるとした上で、特に「保険料の負担」が最大の要因のようだと指摘しています。

「アンダーインシュアードとは、必要な補償の一部しかカバーされていない状態を指します。たとえば洪水リスクのある地域に住んでいて、盗難の保険には入っているけれど、洪水に対する補償がない場合などです。」(ジャザブコウスキー教授)
また、毎年同じ金額で住宅や家財に保険をかけ続けていると、物価上昇により実際の再建・買い替え費用に追いつかなくなり、結果的に補償が不十分になる可能性もあります。
「インフレが進んでいる中では、十分な補償額を確保していないという意味で、これもアンダーインシュアードと言えるのです。」(ジャザブコウスキー教授)

自然災害に対する保険に加入しているかどうかに関わらず、ジャザブコウスキー教授は次のような備えをしておくことを勧めています。
- 避難指示が出たときに、何を持って避難するかを考えておく。
- 重要な書類のデータはオンラインにバックアップしておく。
- 定期的にガター(雨どい)やバルブの点検・掃除をする。(これにより、逆流や排水のあふれによる浸水を防ぐことができる)
- 自宅のまわりの木は手入れする。(伸びすぎたり不安定になった木は、強風で倒れて被害をもたらす恐れがある)
- サイクロンが起こりやすい地域に住んでいる場合、窓に頑丈なシャッターを取り付ける
- 屋根はしっかりと固定する。

保険契約は文章が長く、専門用語も多いため理解しにくいことがありますが、内容をしっかり確認することがとても大切です。
よく読まずに「同意します」にチェックを入れてしまう人は少なくありません。だからこそ、自分が何に対して補償されていて、何が対象外なのかをきちんと把握しておく必要があります。
「保険は金融商品なので、難しそうに感じてしまう人もいますが、購入するものの契約条件はしっかりと読み、分からないことは遠慮せずに質問することが大切です。」(ジャザブコウスキー教授)
納得できるように説明してもらうのは、あなたの当然の権利です。Professor Paula Jarzabkowski, University of Queensland
たとえ保険の更新だけを考えている場合でも、「ロイヤルティ・ペナルティ(長く契約していることによる割高な料金)」を避けるために、他社の保険を比較したり、価格交渉をしたりする価値は十分にあると、チョイスのジョディ・バードさんは話します。
「私たちは直感的に、同じ会社をずっと利用していれば、割引などで優遇されると思いがちですが、保険会社の場合はそうとは限りません。」
「毎年そのまま更新していると、新規加入者が同じ保険に入るよりも、高い保険料を請求されることがある」と、バードさんは警鐘を鳴らしています。

保険会社に問い合わせ、新規契約者に提示しているような優遇価格が自分にも適用されるか、尋ねてみましょう。そうでない場合は、他社に乗り換える意思があることを伝えるのも一つの方法です。
しっかりと下調べをしておくことで、交渉の主導権を握りやすくなります。
「他社の保険料や補償内容を比較して把握しておけば、それが交渉の大きな武器になります。」(バードさん)
住宅・家財保険に関するよくある疑問や注意点については、Financial Rights Legal Centre.
のウェブサイトで確認できます。
また、借金などの金銭的な問題に悩んでいる方は、全国債務ヘルプライン(National Debt Helpline) 1800 007 007 に電話すれば、無料でファイナンシャル・カウンセラーに相談できます。







