DIYリフォームを始める前に知っておきたいこと

Collaborative Task: Man and Woman Working Together

DIY is growing in Australia. Source: Getty / supersizer

オーストラリア人の多くは、自分で家の修理やリフォームをするのが好きです。しかし、ハンマーやペンキを手に取る前に、安心・安全に、そして法律に沿って作業するためのルールやリスクをきちんと理解しておくことが大切です。


Key Points
  • オーストラリアではDIYのリフォームが人気ですが、始める前にリスクやルール、安全に関する知識をきちんと理解しておくことが大切です。
  • 古い住宅では、アスベストや鉛を含む塗料、ホコリなど、健康に深刻な影響を及ぼす素材に注意が必要です。
  • 電気や配管などの工事は、資格を持つ専門業者が法律に従って行う必要があります。大きな改修工事には許可が求められることも。
  • 初心者は、小さな作業から始めて少しずつスキルを身につけ、予算も余裕を持って計画することで、思わぬ失敗を防ぎましょう。

多くの人にとって、家とは「進行中のプロジェクト」のようなものです。部屋に新しいペンキを塗ったり、デッキを作ったりと、オーストラリアではDIYリフォームが人気です。

「オーストラリアには“やればできる”という文化が根付いていて、多くの人が自分でDIYリフォームに挑戦します。現在の建築費や業者に依頼するコストを考えると、今後ますますDIYに目を向ける人が増えると思います。」

そう話すのは、建築・開発マネージャーとして経験豊富で、自身もDIYリノベーターであり、Build Play Liveを立ち上げたクリバシニ・ハノンさん。

DIYはやりがいがある一方で、安全面や法律のルールにも十分注意が必要だと言います。

アスベストなどの危険から身を守る

規模にかかわらず、どんなDIYプロジェクトでも最優先すべきは「安全」です。道具の正しい使い方を学び、防護具を着用し、家の中に潜む危険に注意することが欠かせません。

特に気をつけたいのがアスベストです。

アスベストとは天然の繊維状鉱物の総称で、日本では「石綿(せきめん・いしわた)」とも呼ばれており、空気中に飛散したアスベストの繊維を吸い込むと、がんを引き起こす可能性があります。

オーストラリアでは、3軒に1軒の住宅にアスベストが使われているとされています。
Safety is our top priority. Workers wearing full body protective clothing while working with the asbestos roof tiles.
If asbestos needs to be removed, you should engage a licensed asbestos removal contractor. Source: Getty / PixeloneStocker
アスベストは、水回り(浴室、キッチン、ランドリー)をはじめ、軒裏や壁のシート材など、家のさまざまな場所多く使われています。

アスベストを含む建材はおよそ3,000種類あり、1990年以前に建てられた住宅は特にリスクが高いとされています。

アスベストは、その存在自体が危険なのではなく、切ったり、ドリルで穴を開けたり、損傷することで、空気中に飛散する微細な繊維を吸入することが問題だと、アスベスト教育委員会のメンバーであり、EDPコンサルタンツの代表取締役ジョン・バティ氏は説明します。

「DIYでシート材やアスベストを含む素材を切ったり、穴を開けたり、壊したりすると、素材が損傷し、非常に細かくなったアスベストの繊維が空気中に舞い上がります。これらの微細な繊維を吸入すると、健康被害をもたらす可能性があります。」

そのため、作業を始める前には、アスベストのチェックリストを活用してリスクを確認しましょう。もし不安がある場合は、専門の資格を持つ業者に点検してもらうのが安全です。

もしアスベストの除去が必要な場合は、安全のために必ず有資格の業者に依頼するよう、バティ氏は勧めています。

また、古い住宅によく見られる鉛を含む塗料や、ホコリにも注意が必要です。
できるだけホコリの発生源で抑え込み、必ず防塵マスクや使い捨てマスクを着用しましょう。
John Batty
「解体作業を行う際は必ず防護具を着用し、食事や飲み物を口にする前には、手や顔をしっかり洗うことが大切です。そうしないと、知らず知らずのうちに有害物質を取り込んでしまう危険があります。」(バティ氏)
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Safety means wearing the right gear and knowing how to use the tools. Credit: Asbestos Awareness

合法的にリフォームを進めるための許可と資格

オーストラリアでは州やテリトリーによってリフォームに関するルールが異なるため、必ずローカルカウンシルや建築当局に確認することが重要です。

また、電気や配管工事など、一部の作業は有資格の専門業者が行わなければなりません。

さらに構造壁の撤去や増築、大きなデッキの設置といった大がかりなリフォームには、建築許可や計画許可が必要です。費用や時間を節約しようと、許可を取らずに進めたくなるかもしれませんが、それが深刻な問題につながることもあります。

罰金を科されたり、工事のやり直しを命じられたり、家族の安全が脅かされるリスクもあると、ハノンさんは警告します。

「何より大切なのは、作業の失敗によるリスクを避けることです。実際によくあるのは、DIYでリノベーションをしたものの、防水処理が適切にされていなかったり、床下の準備が不十分だったりして、数年のうちにカビが発生したり、木材が腐ったりして、せっかく仕上げた部分をすべてやり直すケースです。」

DIY初心者は、小さなプロジェクトから始めよう

ブリスベンのコテージをリノベーションしたことをきっかけにDIYに目覚めたというDIYの達人、ジュネーヴァ・ヴァンダザイルさんは、DIYはお金を節約するのにとても良い方法だと話します。

ただし、予想以上に費用がかさむこともあると注意を呼びかけています。
DIYは『自分でやるから安上がり』と思われがちですが、実際には材料費、道具のレンタル代、配送費、廃材処分費など、さまざまなコストが積み重なっていきます。
Geneva Vanderzeil
DIYが初めての人は、まずはリスクの少ない小さな作業から始めて、少しずつスキルを身につけていきましょう。

「いきなり浴室の床を張り替えるのではなく、まずはテーブルを買ってタイルを貼ってみるなど、小さなことでやり方を学ぶのが大切です。」(ハノンさん)。
Couple discussing over document while fixing cabinet together in kitchen during home renovation
Saving money is one reason why people try DIY, but the costs can mount. Source: Getty / Maskot
ヴァンダザイルさんは、「DIYは スキルのレベルに関係なく、誰にでも取り組める」として、たくさんの人に気軽に挑戦してほしいと話します。

「DIYを始めるのにプロである必要はありません。失敗も学びの一部です。小さな作業やペンキ塗りのような簡単なプロジェクトから始めることで、少しずつスキルが身につき、自信にもつながります。」
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