ジャスティス・オブ・ザ・ピース(JP)とは? どんな時に必要?

Female legal advisor lawyer helping her client

JPs are authorised to act as a witness when you sign legal documents Source: Getty / ilkercelik

自分の身元を証明したいときや保険金を請求するとき、あるいは母国語で書かれた書類のコピーを認証してもらいたいときなど、「ジャスティス・オブ・ザ・ピース(JP)」の助けが必要になる場面は、誰にでも訪れるかもしれません。JPは特別な訓練を受けたボランティアで、地域社会の中で重要な役割を担いながら、法制度を支える存在です。では、そのJPとは具体的にどんな人たちで、どんなサポートをしてくれるのでしょうか?また、必要なときにどうやって見つければよいのでしょうか。


Key Points
  • JP(ジャスティス・オブ・ザ・ピース)は、法的な書類への署名やコピーの作成時に立ち会い、その書類が正当なものであることを証明する役割を持つ人です。
  • お住まいの地域で、ご自身の母国語に対応できるJPを探すこともできます。
  • JPはボランティアで活動しているため、サービスは無料で受けられます。
ジャスティス・オブ・ザ・ピース(JP)は、人生の大切な場面でサポートしてくれる存在です。

JP(ジャスティス・オブ・ザ・ピース)は、法的な書類の手続きをサポートする役割を担う、各州やテリトリー政府に任命された信頼できる市民です。厳しい申請・審査を経て選ばれており、書類への署名時の立会いやコピー書類の証明など、特定の手続きを行うことが認められています。

JPはボランティアのため、サービスの料金を受け取ることはなく、「地域に貢献したい」という思いを持って活動しています。

ビクトリア・プライド・センターの書類署名センターのコーディネーターを務めるディーン・ベックさんは、父親が裁判官であったことから、法律の世界で育ったと言います。

「ボランティア活動にはいつも携わっていました。地域に貢献するのは、私たち家族にとって当たり前のことだったんです。ですから、JPに立候補しました」
社会的正義や公平さ、平等といった考え方は、私自身が大切にしていることですし、JPにとっても大切な資質だと思っています。
Dean Beck

JPは、具体的にどんなサポートをしてくれるのでしょうか?

簡単に言えば、法的な書類手続きを支えてくれる存在です。

多くの書類では、「署名が本物であること」、「記載された情報が正しいこと」、そして「書類のコピーが原本と同じ内容であること」を証明するために、JPの立ち会いが法的に求められる場合があります。

たとえば、運転免許証やパスポート、出生証明書、メディケアカード、成績証明書などのコピーが必要な場合、JPに認証してもらうことができます。
stamping a document
A JP can stamp your document to certify that it is a true and correct copy of your original document. Source: Getty / StockPlanets
「JPは宣誓供述書(Statutory Declaration)への署名の立会いも行いますし、裁判所に提出する宣誓書(Affidavit)を作成する際にも立ち会うことができます。また、継続委任状(Enduring Powers of Attorney)や終末期の医療に関する意思決定書、そして簡単な遺言書など、人生に関わる大切な書類の作成をサポートしてくれます。」 (ベックさん)

ACT・JP協会の、ビバリー・アリー会長は、JPは申請者が持ってくる書類にサインと日付、JPのライセンス番号を書き入れると、説明します。

「原本を確認し、『これは正確なコピーであることを証明します』という内容のスタンプを押して認証します。」(ベックさん)

どんな種類の書類であっても、JPを訪れる際は身元確認ができるように、必ずパスポートや運転免許証などの写真付きの身分証明書を持参してください。

普段から一般市民の書類の認証を行ってきた会計士のアラン・リヨンさんは、JPになることは、その活動の自然な延長であり、より幅広い人々を支援できるようになったと話します。

「JPとして活動することで、自分を支えてくれた地域社会に少しでも恩返しできるのも嬉しいですし、とてもやりがいを感じています。」 (リヨンさん)

リヨンさんのもとには、ローンの申し込みや信託の設立、遺言書や委任状の作成、結婚や離婚の届け出、身元証明など、さまざまな手続きのサポートを求めて、幅広い人たちが訪れます。
広東語を話せるJPが必要なために私のところを訪れる方もいれば、単に近所に住んでいるからという理由の方もいます。
Alan Leung

Statutory declaration(宣誓供述書)とは?

JPによく依頼される業務のひとつが、宣誓供述書(statutory declaration/略してstat dec)の証人になることです。これは例えば、保険金請求や病欠申請などの際に使われます。

宣誓供述書は、「記載内容が真実かつ正確である」と宣言する書類です。署名は、JPなど認定された証人の立ち会いのもとで行う必要があります。
Australia Explained – Justice of the Peace
You must sign a stat dec in the presence of an authorised witness such as a JP. Credit: MTStock Studio/Getty Images

JPがサインできない書類とは?

JPは、内容を理解できない書類の認証はできません。

また、自分が読めない言語で書かれた書類の証人になることもできません。その場合は、あなたの言語を理解できる別のJPを探す必要があります。

場合によっては、JPの権限を超える書類もあり、その場合は法律の専門知識を持つノタリー・パブリック(公証人)が必要になります。ノタリー・パブリックは、JPと違って手数料が発生します。

JPの探し方は?

各州・テリトリーにはJPのオンライン検索システムがあります。インターネットで「find a JP」と検索するか、各州・テリトリーの司法局のウェブサイトを訪れてください。

検索は地域や対応可能な時間帯、話せる言語、名前などで絞り込むことができます。

「例えば、メルボルン中心部で週末に対応できる広東語を話すJPが必要な場合、名前と電話番号のリストが表示されるので、簡単に予約できます。本当に便利です。」(リヨンさんは)
Male candidate signing the contract
You can search for a JP by location, availability, language and even name. Source: Getty / SrdjanPav

書類署名センター

多くの州や地域では、書類署名センター(Document Signing Centre/DSC)やJP署名デスクを利用すれば、当番のJPに書類の手続きを依頼することができます。

これらのサービスは図書館やコミュニティセンター、警察署、裁判所などに設置されており、予約なしで利用できるのが一般的です。

ただし、警察署や裁判所に行くことに抵抗を感じる人もいると、ビクトリア州プライドセンターでDSCを運営するディーン・ベックさんは話します。このセンターはメルボルン中心部から10km圏内にあり、警察署や裁判所以外の場所にある唯一のDSCです。

「私たちは、人種や性的指向、出身にかかわらず、誰もが安心して利用できる場所を提供しています。」(ベックさん)

最寄りのDSCと利用時間は、「find a JP」と検索すれば簡単に調べることができます。

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