Key Points
- 女性は、職場での差別や家庭内暴力、経済的な不平等など、男性とは異なる法的な課題に直面することがあります。
- 女性向けの法律サービスでは、安全性とプライバシーの保護が特に重視されています。
- 条件を満たす女性であれば、こうしたサービスを全国で無料で利用することができます。
- 移民や難民の背景を持つ女性や、アボリジナルをはじめとするファーストネーションズの女性に特化した支援も提供されています。
オーストラリアの法律制度は、多くの人にとって分かりにくく、利用するのが難しいものです。
女性の場合、そのハードルはさらに高くなります。女性は法的支援を必要とする場面が多い一方で、実際にその支援にたどり着くまでに、さまざまな障壁に直面しています。
こうした課題に対応するため、女性に特化した法律サービスが整備されており、必要なときに適切な支援を受けられる体制が整えられています。
女性は特別な法律支援が必要?
『Women’s Legal Services Australia』のエグゼクティブ・ディレクター、エイドリアン・ウォルターズ氏は、女性は男性とは異なる法的な問題に直面していると指摘します。
「それは、私たちが人生の中で暴力や差別を経験する可能性がより高いためです。実際に、女性は家庭内暴力や家族間の暴力、性的暴力の被害に遭う割合が高く、子どもの主な養育者となるケースも多いです。収入は低く、資産も少ない傾向にあります。」
もし法的な問題を抱えていて弁護士を雇う余裕がない場合は、各州・テリトリーにある女性法律サービスを利用することができます。これらの機関では、トラウマに配慮し、ジェンダーの視点を踏まえた支援が提供されています。
また、対応が難しい場合でも、適切な他の支援機関を紹介してくれます。

家庭内暴力の相談先は?
女性法律サービスでは、予約制で相談を受け付けており、家庭内暴力に関する保護命令や家族法のトラブルなどについて、弁護士が裁判に同行することも可能です。遠隔地に住む女性は、オンラインで支援を受けることもできます。
こうしたサービスは無料で提供されており、さまざまな問題に対して、安全性とプライバシーに配慮したサポートが行われています。
「私たちは主に、家族法の問題や家庭内暴力、性的暴力への対応、そして子どもの保護に関する分野を専門としています。また、多くのサービスでは、移民に関する専門的な支援プログラムも提供しています。」(ウォルターズ氏)
暴力から逃れようとしている一時的なビザの女性たちが、非常に複雑な移民制度や家族法、家庭内暴力に関する制度に対応できるよう、支援を行っています。Adrianne Walters
多くのサポートワーカーは、アボリジナルをはじめとするファーストネーションズの人々に特化したサービスや、雇用に関する問題についてのサポートも提供しています。
職場の権利はどこに相談できる?
職場でトラブルが起きたとき、雇用に関する権利を理解するのは簡単ではなく、不安に感じる人も少なくありません。しかし、職場で働く女性を支えるための専門的なサービスが用意されています。
オーストラリア各地で運営されているワーキング・ウィメンズ・センターでは、無料かつ秘密厳守で法律相談を受けることができます。職場でのセクシュアルハラスメントや差別、不当解雇などに直面している場合、最寄りのセンターが、自分の権利や取り得る対応について理解できるようサポートしてくれます。

『Working Women's Centre Australia』で権利擁護と政策を担当するアイラ・フィルダウス氏は、女性特有の職場での経験を踏まえ、ジェンダーに配慮した対応が必要だと話します。
「ワーキング・ウィメンズ・センターは、労働組合に加入していない女性やノンバイナリーの人たち、つまり、組合に入る機会がなく、法的なアドバイスを受けられない人たちにとってのセーフティネットとなることを目的としています。」
また、移民や難民、ファーストネーションズの人々にとっては、雇用に関する問題がさらに複雑になる傾向があると指摘します。
「センターに相談に来る女性の多くは、低賃金で不安定な業種や、労働組合のない職場で働いています。相談内容も一つの問題にとどまらず、さまざまな要素が絡み合った非常に複雑なケースが多いのが特徴です。」
センターに相談に来る女性の中には、職場でセクハラを受けただけでなく、そのことを声に出したことで解雇されたり、賃金の未払いといった問題も同時に抱えているケースがあります。Aira Firdaus
最寄りのワーキング・ウィメンズ・センターでは、住宅支援や福祉サービスなど、ほかのサポートにつなぐこともできます。
移民や難民の女性が利用できる法律サポートは?
移民や難民の女性は、在留資格の不安定さや経済的なプレッシャー、家庭内暴力などの問題を抱える中で、支援にアクセスする際にさらに多くのハードルに直面することがあります。
ウォルターズ氏によりますと、オーストラリア各地の女性向け法律サービスでは、ビザなどの移民手続きについても支援しています。
「特に、一時的なビザで滞在している女性で、暴力の被害に遭っている人たちの支援に力を入れています。家族法など他の法的問題と並行してビザの手続きを進め、安全に暴力的な関係から離れられるようサポートしています。」
『inTouch Women’s Legal Centre 』は、連邦政府とビクトリア州政府の資金提供を受けて運営されているコミュニティ法律サービスで、ビクトリア州に住む移民や難民の女性を専門に支援しています。
同センターの主任弁護士、アジェラ・シスコヴィッチ氏は次のように話します。
「移民や難民の女性にとって大きな壁の一つは、オーストラリアの法律制度や政府機関の仕組みを十分に理解できていないことです。」
「実際、私たちの利用者の3分の1は、オーストラリアに来てから5年未満であるため、こうした状況は決して珍しいことではありません。」
さらに、言語の壁も加わることで、弁護士を見つけることは一層難しくなり、その結果、女性本人や子どもにとって不利な結果につながるケースもあります。

また同センターでは、家庭内暴力や家族法、移民の問題が重なるケースにおいて、無料で多言語対応かつ文化的背景に配慮した法律相談や代理支援を提供しているとシスコヴィッチ氏は説明します。
「私たちは、家庭内暴力への対応の中で、こうした包括的なサービスを提供するオーストラリア初の複合的な支援機関の一つです。」
ビクトリア州にお住まいの方は、支援を受けられる条件に当てはまるか、inTouchに問い合わせることができます。
言語サポートは受けられる?
女性法律サービスの弁護士は、言葉の壁がある女性への支援にも対応してます。
「相談や裁判の際には、通訳を依頼することができます。また、法的扶助を受けている場合や、通訳費用を負担できない場合でも、無料で利用できる仕組みが用意されていることが多いです。」(ウォルターズ氏)
相談窓口
Women's Legal Services (州・テリトリー)
Working Women's Centre Australia (州・テリトリー) または掲載の1800番号に電話
inTouch Women’s Legal Centre (Victoria only) (ビクトリア州のみ)または1800 755 988に電話
地方・遠隔地にお住まいの方
地域のコミュニティ法律センターやリーガルエイドを通じて、対面・オンライン・電話での支援を受けることができます。







