定期的な乳がん検診は、自覚症状が現れる前の早い段階で乳がんを見つけるのに役立ちます。対象年齢の女性や、乳がんのリスクがある人は、無料で検診を受けることができます。検診は2年に1回、所要時間はおよそ20分。自分の健康を守るため定期的に検診を受けることが大切です。
Key Points
- 2年に1回、20分ほどの乳がん検診が命を救うことにつながるかもしれません。
- 50歳から74歳までの女性には、2年ごとに無料で受けられる乳がん検診の案内が送られます。
- 乳がん検診は、40歳以上の女性に加え、トランスジェンダーやジェンダーニュートラルの人、アボリジナルおよびトレス海峡諸島民の女性も利用できます。
- 移民の背景を持つ女性には多言語によるサポートが用意されており、検診施設ではプライバシーにも配慮されています。
なぜ乳がん検診が重要?
乳がん検診は、乳がんなどの病気を早期に発見するための定期的な健康チェックです。
ニューサウスウェールズ州の乳がん検診プログラム「BreastScreen NSW」の放射線技師、ブロンウィン・モーリーさんは、マンモグラフィーについて、乳房を撮影する低線量X線検査であると話します。
「見たり触れたりして気付く前の、米粒ほどの小さながんを発見することができます。乳がんは早期に見つかるほど生存率が高まり、治療の負担も軽くなります。」
定期的な検診が重要なのは、乳がんが自覚症状のないまま進行することがあるためです。

誰が乳がん検診プログラムを利用できる?
BreastScreen Australiaは、連邦政府と各州・テリトリー政府が共同で運営する乳がん検診プログラムです。
検診は無料で受けられ、医師の紹介状も必要ありません。
対象となる50歳から74歳までの女性には、2年ごとに郵送で案内が送られ、お住まいの州やテリトリーの検診施設や移動検診車で予約を取ることができます。
このプログラムは誰もが利用しやすい仕組みづくりを目指しており、たとえばニューサウスウェールズ州では250ヵ所以上で検診を受けることができます。
また、この対象年齢以外でも検診が勧められる人がいます。
「アボリジナルおよびトレス海峡諸島民の女性には、40歳から乳がん検診を受けることが推奨されています。また、BreastScreenに登録されている人には検診の案内が送られます。75歳以上の女性は、定期的な乳がん検診が自分に適しているかどうかについて、かかりつけ医に相談することが勧められています。」
またBreastScreenでは、性的マイノリティに配慮した「レインボー検診クリニック」も運営しています。トランスジェンダーの人やジェンダーの多様性を持つ人、また性別適合ホルモン療法を受けている人は、乳がん検診が必要かどうかを確認することが大切です。
乳がん検診では何をするの?
乳がん検診を受けるのをためらう理由として多いのが、「どんなことをするのか分からない」という不安です。
メルボルンにあるMulticultural Centre for Women’s Health (MCWH) でバイリンガル健康教育員として活動するフェリシア・ベラギアさんは、女性たちが母国語で検診について理解できるようサポートしています。
ベラギアさんによると、検診施設に到着すると、まず受付で必要書類を記入し、その後、検査室で放射線技師による案内を受けます。
「放射線技師から上半身の衣服を脱ぐよう案内されます。上半身の服と下着を外していただく必要がありますが、希望すればガウンを着ることもできます。検査中はいつでも質問できますし、不快に感じた場合は検査を中断してほしいと伝えることもできます。鮮明な画像を撮影するため、乳房を短時間圧迫します。不快に感じることはありますが、痛みを伴うものではありません。」

乳がん検診の受診率が低いグループとは?
移民や多文化コミュニティーの女性、多様な性自認を持つ人たちは、乳がん検診を受ける割合が一般の人たちに比べて低くなっています。
BreastScreen Victoriaによると、2022年から2024年にかけて、ビクトリア州の多文化コミュニティーの女性の受診率は、州全体の平均を13ポイント下回りました。
こうした背景にはさまざまな要因があります。
ベラギアさんは、その一つとして、出身国やオーストラリアでのこれまでの医療機関での経験が影響している可能性を挙げています。
「もう一つの理由として、オーストラリアの医療制度は複雑で、多文化コミュニティーの女性たちのニーズに十分対応できていない場合があることです。その結果、医療サービスを利用する際の障壁が生まれることがあります。」
多様な背景を持つ女性への支援はある?
Multicultural Centre for Women’s Health (MCWH) のような団体は、移民や難民の女性がオーストラリアの医療制度について理解し、必要な医療サービスを利用できるよう支援しています。
ベラギアさんのようなMCWHの健康教育員は、支援する女性たちと同じ言語や文化的背景、経験を共有しているため、ひとり一人に寄り添った分かりやすい情報提供ができるといいます。
「セッションでは、多くの移民や難民の女性から、乳房を見せることに抵抗があるという声が聞かれます。また、痛みや、がんと診断されることへの不安を抱えている人も少なくありません。」
「しかし、より安心して検診を受けられるよう、私たちにできるサポートはたくさんあります。そのため、ぜひ検診を受けてほしいと思います」
MCWHでは、乳がん検診について事前に理解を深められるよう、さまざまな言語による無料の健康セミナーを実施しています。
また、BreastScreen NSWでも、多文化コミュニティー向けの啓発活動や多言語による情報提供を行っています。
検診を受ける前に、肌の露出への不安やプライバシー、言語面で必要なサポートについて相談することができます。Felicia Belagia
BreastScreen NSWの放射線技師、ブロンウィン・モーリーさんは、多文化コミュニティーの団体と協力し、がん検診の受診を呼びかけていると話します。
「グループで一緒に検診を受けられる予約制度も設けています。お互いに支え合いながら受診できるようにするためです。さらに、予約や受診の際には資格を持つ医療通訳を利用することができます。検査の説明をしっかり理解し、疑問があれば質問できるようサポートしています。」
乳がん検診を受けたアンジェラ・ライノさんは、特に初めてマンモグラフィーを受ける人は不安を感じるのも当然だと話します。
しかし、実際には放射線技師が緊張を和らげてくれたといいます。
「検診は短時間で終わり、通常は20分ほどです。マンモグラフィー自体は数分で終わります。また、放射線技師は全員女性で、不安な気持ちにも理解を示しながら、ひとつ一つの手順を丁寧に説明してくれます。」

通訳サービスは利用できる?
検診の際に通訳サービスを利用することができます。
必要に応じて、翻訳・通訳サービス(TIS National)を通じた言語サポートを依頼できます。電話での申し込みは 13 14 50 で、24時間365日対応しています。
また、家族や友人など、付き添いの人と一緒に受診することもできます。
乳がん検診を受ける際のポイント
乳がん検診は、乳房に変化がないかを定期的に確認するためのものです。そのため、一度きりではなく、定期的に受診する習慣をつけることが大切です。
早期発見のためには、2年ごとに検診を受けることが何より大切です。乳房は2つあるので、「2つの乳房、2年ごと」と覚えてください。Angela Laino
ライノさんは、乳がん検診を前向きな気持ちで受けることが大切だと話します。
「私はいつも、『この検診は自分の健康を守るためのもの』という気持ちで受けています。そのために時間を作ることも大切だと思っています。また、検診について気になることがあれば質問することで、より安心して受けることができます。」
また、服装についてもアドバイスしています。
「検診を受ける日は、ワンピースではなく上下が分かれた服装がおすすめです。上半身だけ着替えればよいので、より楽に検査を受けられます。」
乳がん検診の予約方法
乳がん検診の予約や受診資格の確認は、オーストラリア全国共通の電話番号 13 20 50 で行うことができます。電話をすると、お住まいの州またはテリトリーのBreastScreenにつながります。
また、BreastScreen Australiaのウェブサイトからオンラインで予約することも可能です。





