Key Points
- 子どもの将来のために貯金を始めるなら、まずは自分の負債を減らすことから始めるのが大切です。
- 子どものローンの保証人になる前に、まずは専門家のアドバイスを受けましょう。
- お金の賢い使い方を教えることは、大人になってからの健全な金銭管理につながります。
親の多くは、子どもの将来が経済的に安定することを願っています。
多くの文化では、大人になった子どもが親を支えることが一般的ですが、オーストラリアではその逆で、親が子どもの経済的なスタートを助けることがよくあります。
たとえば、初めての車の購入を助けたり、学費をサポートしたり、住宅を買うための支援をしたり。
オーストラリア金融アドバイザー協会のデービッド・シャープ会長によると、親の主な貯蓄目的として「住宅」が最も多いということです。
「10年前は結婚式や車のための貯金が中心でしたが、今は『家を持たせること』が重要になっています。」

Moneysmart is a government website providing independent information to Australians about financial decisions they need to make. Credit: courtneyk/Getty Images
また、将来の目標に向けて家族の貯蓄を支援する政府や地域のプログラムもあります。
たとえば、貯めた金額に応じて追加支援が受けられる「マッチド・セービング制度」や、教育費・生活費を助成するセンターリンクの支払い制度などです。
どんな目的であっても、子どものために貯金を始める前に、まずは自分の負債を減らすことを考えるのが賢明です。
「負債を減らしておけば、将来的に子どもを支援する際に、新しく融資を受ける余裕ができるかもしれません。つまり、外で利息を得るよりも、支払う利息を減らすほうが、最終的には家計にとってプラスになるということです。」(シャープ氏)
子どもが初めて家を買うときに、親ができるサポート
子どもが家を買うとき、多くの親は頭金(デポジット)を援助します。
ただし、もし子どもにお金を「貸す」形でサポートする場合は、注意が必要だと、Moneysmartのパーソナルファイナンス担当ライター、シェヴォーン・マーシンゴさんは話します。
「いくら渡したのか、どのように返済してもらうのかを明確にするために、書面で計画を立てておくことを考えましょう。そのような記録を残しておくことで、複数の子どもに経済的な支援をしたいときにも、公平さを保つのに役立ちます。」

Check for any tax benefits when committing to long-term investments, like insurance bonds. Source: Moment RF / Traceydee Photography/Getty Images
「子どもが何らかの理由でローンを返済できなくなった場合、代わりに親が全額を支払わなければならない可能性があるからです。」(マーシンゴ氏)
子どもの将来のために貯金を始めたいと考える親には、普通預金や定期預金、インシュランスボンドなど、さまざまな選択肢があります。
どんな金融商品を選ぶ場合でも、決める前に専門家のアドバイスを受けておくと安心です。
オーストラリアで信頼できるファイナンシャルアドバイザーを見つけるには?
ファイナンシャルアドバイザーのサービスを利用する前に、複数のアドバイザーと実際に会って比較することが大切です。
- あなたの目標達成をサポートし、進み具合を丁寧に伝えてくれる
- 支払う手数料と、その見返りとして得られるサービスを明確に説明してくれる
- あなたの資産をどのように管理するのかを、具体的に示してくれる
- 重要な判断をする際には、必ず相談してくれる
「自分がどの程度のリスクを取れるかについて話し合うこともとても重要です。お金をどう扱うかを決めるうえで欠かせないことです。」(マーシンゴ氏)
もし個別のアドバイスを受ける余裕がない場合は、無料のファイナンシャル・カウンセラーからアドバイスを受けることもできます。National Debt Helpline(ナショナル・デット・ヘルプライン)に電話(1800 007 007)して、見つけることができます。

A simple exercise if you're at the shops with your child is to get them compare the cost of two items and help you make a choice together. Credit: rudi_suardi/Getty Images
子どもにお金のことを教えるのは、なぜ大切?
オーストラリア人の約3人に1人は、「お金の管理にストレスを感じている」と言われています。中には、お金の話題そのものに抵抗を感じる人も少なくありません。
オーストラリアの学校で金融教育プログラムを実施している財団 Ecstra(エクストラ) のCEO、キャロライン・スチュワート氏は、
「親はできるだけ早いうちから、子どもとお金の話をするべきだ」と話します。
「幼稚園のうちからお金の話をするなんて、少し変に聞こえるかもしれません。でも、子どもたちはとても早い段階から『必要なもの』と『欲しいもの』、そして『買いたいもの』の違いを理解しているのです。」
日常の中にも、子どもにお金の大切さを伝えるきっかけはたくさんあります。
たとえば、スーパーでの買い物は、実際にお金の使い方を学べる良い機会です。
「お金の話をタブーとせず、お金について話すことは自然なことだと教えることで、お金を扱うことやお金について話すことに自信を持てるようになります。」(スチュワート氏)
また、子どもに少額の週のおこづかいを渡し、その一部を欲しいもののために貯金させるのも良い方法です。
こうした習慣を通じて、お金の価値や選択の重要性、そして「我慢して貯めること」の意味を学ぶことができます。

Using appropriate language and examples for your child’s age, like saving for an excursion or a birthday party, you can introduce financial planning learnings early on, Dr Zeka says. Credit: Maskot/Getty Images/Maskot
子供は何歳から貯金とそのやりくりを学ぶべき?
キャンベラ大学で金融・ファイナンシャルプランニングを専門とするボミカジ・ゼカ准教授によりますと、それは幼い頃から、教育の一部(金融リテラシー教育)にするべきだと述べています。
「いざという時のためにお金を貯める」とよく言いますが、子どもにとって「いざという時」がどんなことなのか、なかなかピンとこないものです。
「家庭の中でお金の話をすることで、親は子どもに現実的な金銭感覚を育てられるます。つまり、お父さん・お母さんの銀行には限りがあるということを理解させるのです。」
ゼカ氏は、子どもを家庭のファイナンシャル・プラニングに参加させることが、金融リテラシーという遺産を残すことにつながると強調します。
「こうした会話を早い段階から始めることで、リスクとリターンのバランスを考えながら、正しい判断ができる、賢くお金と付き合える大人に成長します。」
収入やバックグラウンドに関係なく、お金の話を始めるのに早すぎることも遅すぎることもありません。家族で一緒に将来を考えることから、すべてが始まります。
本記事の内容は一般的な情報を提供するものであり、特定の状況に対する助言ではありません。金融に関する判断を行う前に、必ず専門家のアドバイスを受けてください。もし経済的な困難に直面している場合は、National Debt Helpline(ナショナル・デット・ヘルプライン)(電話:1800 007 007)にご相談ください。また、認可を受けたファイナンシャルアドバイザーのみを利用するようにしましょう。Moneysmartの「Financial Advisers Register(ファイナンシャルアドバイザー登録名簿)」から検索できます。その他の言語でのお金に関するアドバイスはこちらをご覧ください。無料のオンライン家計管理ツール「Simple Money Manager」も利用できます。
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