Key Points
- オーストラリアはロードトリップが楽しめる国ですが、その広大さ、野生の動植物、遠隔地など、事前に計画を立てて置くことが重要です。
- 地理的な特徴の分かる地図、水、食料、救急セットなどの必需品を持ち、特にカンガルーなど動物に気をつける。
- 田舎のベーカリーや小さな町、国立公園に立ち寄り、オーストラリアの美しい自然と多様な文化をゆっくり楽しむ
- 人気のあるルートには、グレート・オーシャン・ロード、パシフィック・コースト、タスマニア、そして上級者向けにはギブ・リバー・ロードやケープ・ヨークからケアンズまでのルートがあります。
広大な国、オーストラリア。車を運転し、大陸を走り抜けることでこの国をより深く理解できるかもしれません。
「熱帯雨林、砂漠、沿岸の集落、島々。オーストラリアには実に多様な地形や地理が広がっていることを実感できます。そして現地の人と交流することで、オーストラリアの全体像が見えてくるのだと思います」(トラベルライターのララ・ピコーネ氏)。
しかしその広さ、極端な気候、野生の動植物があるゆえに、オーストラリアでのロードトリップは事前に計画を立てることが欠かせません
出発までに検討すべきことは何?
出発前に必ず走行ルートを調べ、ロードサービス提供業者に登録することが大切です。携帯電話の電波がない、近くにガソリンスタンドがない地域もあります
ファーストエイドキット(救急箱)、水、食料、充電器、スペアタイヤ、地理的な特徴を記した地図、道路地図を用意します。
「最近は地図を持たずスマホに頼る人が多いですが、もちろんオーストラリアでは、インターネットがつながらない場所もあるのを忘れずに」(RACVで保険ポリシー部門を統括するジェームズ・ウィリアムズ氏)。

Kangaroo hopping across an orange coloured dirt road with a 4x4 approaching in the background, The Kimberley, Western Australia, Australia Credit: Abstract Aerial Art/Getty Images
野生動物にどう気をつけるべき?
地方部では車の速度を落とし、動物が道路に出てこないか常に注意を払います。特にカンガルーは、飛び跳ねながら突然道路を横断してきます。カンガルーが活発になる夜明けと夕暮れ時の運転を避けます。
道路に動物がいるのを見つけたら、ブレーキをしっかりと踏み、ハンドルを切らないようにします。「大事なのはハンドルを切らないことです。対向車や沿道の木に衝突し、最悪の結果につながるかもしれません」(ウィリアムズ氏)。
もし車で動物を轢いてしまった場合は、安全に路肩に車を止めて、全員無事かを確認します。動物がけがをしているときは、その州の野生生物保護機関に連絡して助けを求めます。
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自宅に野生動物が現れたらどうする?
走行中のリスクは何がある?
オーストラリアの天候は素早く、劇的に変わることがあります。
「夏場の主な問題は山火事と猛暑です。高い温度はバッテリーに影響を与える恐れがあり、特に電気自動車を運転している場合は注意が必要です。もちろん、山火事のリスクも重大です。自分がいる州や地域の緊急気象情報をアプリで常に確認します」(ウィリアムズ氏)。
「冬場の主な問題は、霜やブラックアイス、寒冷で湿った天候、視界不良があります」。
もし携帯電話の電波が届かないところで車が故障したときは、車の近くに留まります。「迷子の人を見つけるより車を見つける方が簡単だからです」(ウィリアムズ氏)。
通りかかる車を待ち、手を振って呼び止め、助けを求め、そしてその車が電波の届く場所まで移動したら、緊急ロードサービスに連絡してもらいますJames Williams
道路を走行する際の道路交通法も、全国的にほぼ同じではありますが、州や地域ごとの違いを確認しておくと安心です。

Old hotels form a historic streetscape in the Victorian town of Rutherglen Source: iStockphoto / Bruce Wilson Photography/Getty Images/iStockphoto
ロードトリップ中の寄り道スポットは?
楽しめてお腹も満たせるオプションがたくさんあります。
歴史や魅力ある小さい街、逆に「ビッグ・パイナップル」や「ビッグ・プローン」などの大きなオブジェもあります。ここでは写真撮影を楽しめます。
お腹が空いたら、田舎のベーカリーに立ち寄りましょう。おすすめはミート・パイとヴァニラ・スライスです。アウトバックのパブ、田舎の中国料理店、季節のフルーツを売る農場の屋台もあります。
ガソリンスタンド(サービスステーション)や道路沿いの店では、トイレを借りられます。宿泊する場合は、キャンプ場やホテル、モーテルが多くあります。
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SBS Learn English 「ブッシュウォーキングへ行こう」
ですが多くの人にとって、ロードトリップのハイライトは、自然の風景とアウトドア活動です。川や海での水泳や、釣り、ブッシュウォーキング、サーフィン、ハイキングなどです。
「ギブ・リバー・ロードには美しい水場が多くありますし、ベル・ゴージでは想像を超えた人里離れた岩のプールで泳げます。ワニはいませんが、もちろん注意が必要です。オーストラリアの北端周辺にいるときはどこでいても注意が必要です」(ピコーネ氏)。
コロンビアからオーストラリアに移住したメリッサ・カーボネルさんは、オーストラリアではロードトリップを行う垣根が低く、安全に楽しめることに驚いたと語ります。
気軽に安全に寄り道ができました。道路に沿ってキャンプ場からどこへでも。ずっとそうでした。Melissa Carbonell
今やベテランのロードトリッパーとなったカーボネルさんは、小さい子どもを連れて定期的に家族でロードトリップに出かけています。「そうすることでその国やその人々にもっと深く浸り、つながることができるんです」(カーボネルさん)。

Weekend market on Coochiemudlo Island is a popular travel scenic destination in Moreton Bay near Brisbane Queensland, Australia Credit: chameleonseye/Getty Images
オーストラリアの多様性を理解する
ロードトリップは、オーストラリアの文化的な多様性を実感、体感できるアプローチでもあります。
「例えばダーウィンは、まさに多文化都市で、アジアの影響が強く、アジアの街にいるようです。ミンディルビーチマーケットへ足を運び、夕日を眺めながら美味しい料理を堪能できます」(ピコーネ氏)。
「一方で、内陸部のアウトバックへ足を伸ばせば、まさにこれぞオーストラリアといった風景が広がります。素晴らしいアウトバックのパブも楽しめます。オーストラリアにある様々な文化を理解する出発点として、とても良いアプローチです」。
道中では先住民観光(先住民ツーリズム)に参加し、土地(カントリー)と文化へのより深いつながりを感じてください。
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先住民観光の影響

Driving on a road trip in Australia. Source: iStockphoto / Handemandaci/Getty Images/iStockphoto
どのルートがおすすめ?
ピコーネ氏が初心者向けに提案するのはこちらです。「ビクトリア州にはグレート・オーシャン・ロードという美しい海岸線を走るルートがあります。ブリスベンからシドニーにかけてのパシフィック・コーストもおすすめで、途中にビーチタウンがたくさん点在しています。タスマニアはロードトリップに非常に適した場所です。それほど広くないので、まるでヨーロッパの国のような感覚です。2時間ほど運転すれば、まったく違う風景に出会えます」。
また、もっと冒険したいという上級者向けには、ピコーネ氏はファー・ノース・クイーンズランドのケアンズからケープ・ヨークのルート、西オーストラリア州のギブ・リバー・ロード、そしてビクトリア州からニューサウスウェールズ州にかかるマレー川のルートを提案しています。
さらに旅のインスピレーションを得るには、オーストラリア政府観光局(Tourism Australia)または各州・テリトリーの公式観光ウェブサイトをご覧ください。ロードトリップについての詳しいガイドや、計画を立てるためのツールなどが備えたところが多くあります。
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